SSブログ

『フルメタル・パニック!!1巻~3巻』 - 賀東招二 [小説]

疾るワン・ナイト・スタンド―フルメタル・パニック!

疾るワン・ナイト・スタンド―フルメタル・パニック!

  • 作者: 賀東 招二
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫
←2巻を選んだ深い意味はありません。画像があったからww


[あらすじ]
世界最強のハイテク傭兵部隊ミスリルに所属する、エリート戦士相良宗介に、新たな任務が授けられる。
日本の高校に潜入して、一人の少女を守りぬけ!
ところが、相良軍曹。幼いころから戦争漬だったせいで、平和な日本での一般常識はまったくない。
まして、相手は女子高生!空回りの暴走を繰り広げる。


あらすじはあとがきからパクりました。・・・すいません。
まとめて感想書こうか・・・1冊づつにしようか・・・・ちょい悩みましたが、
どーも自分の中のストーリ展開が、アニメに大きく依存してますので
1stシリーズ分ということで、まとめてみたいと思います。

ことの始めはウィスパード。
現代科学では考えられないほど発達した軍事産業には、ウィスパードと呼ばれる人々だけが知りえるブラックテクノロジが利用されている・・・・らしい。

ウィスパードだと思われる千鳥かなめ(都立陣代高校2年)を狙う他の組織から守るため、ミスリルはエリート部隊SRTを3人派遣してくる。
メリッサ・マオ曹長 クルツ・ウェーバー軍曹。
そして、かなめの高校に転入して直接護衛をすることとなった相良宗介軍曹だった。

という感じではじまるフルメタル・パニックww
なんだこりゃ?軍事もの??戦争もの???
アームスレイブなる人型メカも出てくるから・・・ロボットものかっ!
と、思いきや・・・・。

コメディでしたww

とにかく、この相良宗介が戦争バカのおおボケ男。
かなめの護衛の為に女子ソフトボール部に入部しようと更衣室を襲撃したり。どう見てもストーカーだろ?というような尾行の末、かなめにまかれそうになったら、発車した電車から飛び降り
「偶然だ」と言い切ってみたり。
学生鞄の中にはぎっしりと火器・弾薬(しかも、当たり前のように説明を始める)
紛争地域で育ちで、平和とは無縁の生活を送って来たため、不振物(者)には的外れに過剰反応を示し、生傷の絶えない日々を送っています。
現在はミスリルの傭兵という筋金入りの戦争や。
守られているはずのかなめは、はた迷惑この上なしです。

事件は、修学旅行でおきます。
かなめを狙った組織が、飛行機をハイジャックし、行き先の変更を要求します。
沖縄ではなく北朝鮮順安へ。
順安で拉致されたかなめを救出に向かう宗介。
単身でかなめを救出すべきではない。援軍を待て。
危険なのはかなめ以上にハイジャック機に仕掛けられた爆弾で、関係のない乗客420人の生命を優先する命令もでている。
だが・・・・2発目の銃声が響いたとき、宗介は意思とは反対にかなめのもとに駆け出していた。

ただのおとぼけ男だった宗介が、本領発揮する初めての場面です。
かなめには散々罵倒され、痛めつけられてきた宗介ですが、忠犬のようにかなめには懐いています。
軍用犬とご主人様ですww。

かなめを連れ、逃げる宗介。
腹に重症を負いながら、その痛みを無視して戦うことを優先します。
でてくる言葉は「敵・・敵・・敵」
まるで機械と話しているようだと、得体の知れない彼をかなめは怖いと感じます。
「来ないで。あたしに近寄らないで」
怒鳴られるか、殴られるか。相手は感情を持たない「ただ、敵と戦う機械」
逃げ出したいほどの恐怖を感じるかなめに、宗介が見せた表情は
驚いて、傷つき、でもそれも感受しようとする悲しいまでの寂しさでした。
「きみを必ず日本に帰す。事件が解決したらきみの前には二度と姿を見せない。約束する」
「・・・・だから、俺を信じて欲しい。」
誘拐されて、訳のわからない機械に放り込まれて、殺されそうになって・・・。
突然現れたクラスメイトは戦争オタクだとばかり思っていたら、違う世界の住人で・・
顔見知り、それも憎からず思っていた相手が、全然違う顔を見せて機械的に合理的に戦うことだけを考えてる。
それが、ふっと見せた宗介の表情で一気に引き戻されたのでしょう。
やっと、人間らしい(それ以上にこちらも今まで見たことのない寂しげな)表情。
かなめはパニックから回復することで、自分がどんなに酷いことを言ったのか気が付きます。
カレハタダ、ジブンヲタスケタイ。ソレダケノタメニコウドウシテイルンダ。
酷い罪悪感とともに、正気に戻ったかなめには、彼の寂しさとそれに耐えてしまう強さに愛おしさを感じます。
不器用・鈍感・一生懸命、でも強くて・・・優しい。優しいがうえの寂しさ。
なんとかしてあげたい。守ってあげたい。側にいて大丈夫だよって言ってあげたい。
あたしは、信じてるから。
この瞬間に持った宗介への気持ちを、これから、かなめは育てていくとことになります。

実は、2巻に宗介に対する印象を、テッサも同じように感じているとうかがわせるシーンがあります。
テッサとかなめ。テロ組織につかまっちゃった2人。
テッサは少なくとも、かなめを「恋敵」だと思っていますが・・・・。
学校で、宗介が起こす騒動を話すかなめ。
「悪気はないのは分かるんだけど。・・・不器用だけど一生懸命で、なんか放っておけなくて・・・」

テッサは思い出します。生死の分からない部下、カリーニン少佐を心配する彼女を、宗介は「自分でも少佐は殺せなかった。だから無事だ。」と方向違いの慰めをしたことを。
おかしいし、かわいいし、ちょっとたのもしい。
彼の横顔は、クールに見えるけど、実は必死。要領の悪い彼の側にいつもいてあげたくなった。

ああ見えて(どう見えて?)宗介って、女の子のツボ抑えてますよね。
本人には自覚がありませんが、自覚してうまく使いこなせるようになれば、きっとリッパな結婚詐欺師あたりできるでしょうww

根を下ろした宗介への信頼と愛情は、自分の気持ちには不器用な彼女を助け、宗介を支えます。
彼女が大きくウィスパードの能力を発揮するのは、宗介の危機。
宗介がラムダドライバをもっとも上手く稼動させられるが、かなめを側に感じている時。
少なくとも、3巻まではそうです。
分かりやすい伏線ですが、長編も完結したわけではないのでこれ以上の推測はやめておくことにします。(考えちゃうけどねww)

宗介のほうは・・・というと。
不器用、否。無頓着すぎて、なかなか分からないのですが、出会った時からかなめに惹かれていたんでしょうね。
なんだか分からないけど、暖かく光に満ちた場所。曇りのない晴れ渡った空。
彼女はいつも日の光の下にいる。そんな情景を想像させます。
だから、宗介の守りたいものは「ウィスパード」とかそんな特殊能力とかではなく、明るい場所である「彼女」と、そこで一緒に生きていきたい「自分」なんでしょう。
3巻で、デ・ダナンを無事奪還して、基地に戻った宗介は、帰る時間が迫っていることも気にせず、かなめを「秘密の釣りスポット」へ案内します。
いささかズレてはいますが、2人にとってお似合いのデートスポット。
宗介は、『明るい空と海の広がるお気に入りの場所に、自分と一緒にいる彼女』を見たかったのではないでしょうか。象徴的なシーンでした。

最後に、いまだよく分からないウィスパード。
かなめはウィスパードです。
テッサもそうです。

3巻、デ・ダナンにかなめを招いて、自室で『ささやかれた者(ウィスパード)』の説明をするテッサ。
ウィスパードは条件が揃えば、現代の水準をはるかに越えた科学技術や理論を引き出すことができる。ささやきによって。
これが、ウィスパードの定義です。

かなめにも、突然「ささやき」が始まりました。
最初は、北朝鮮で宗介が始めてARX-7アーバレストに搭乗した時。
ラムダドライバの使い方を教えたのは、ささやきから情報を得たかなめでした。
ささやきが始まれば、知性(知能?)が急に高くなり、基礎的な知識を楽々と習得するようになります。
実際、かなめの理数系の成績は驚嘆するほど変わったようです。
それと共に、ささやきから絶対知りえない情報を得ることができると、テッサはいいます。
ですが、ささやきは危険を孕みます。
ベヘモスとの戦いで、かなめのささやきは、「お前、バガだから、アケワタセ」と自分と同じ声でささやいてきます。
そして、ウィスパードは全能ではなく、テッサはラムダドライバの技術や理論につては限られたことしか知らない。
もし、それを得ようと意識の深層に潜り込むと、「ささやき」に精神をのっとられてしまう。
アーバレストを作った、テッサの友人、バニ・モラウタはのっとられ、発狂して自殺してしまったのでした。

テッサは、ささやきに乗っ取られることなく、それを御して知識や情報を活用する術を持っています。
おそらく、そういった教育や訓練を受けてきたのでしょう。
彼女はほんの小さい頃から能力を発見、研究されていて、そこにバニともう一人、テッサの兄レナードも居たのでしょう。
かなめのウィスパードとしての専門分野はなんなのか(流れ的には、バニの替わりとなるラムダドライバか?やっぱり)
レナードは何故袂を分かつことになったのか。(彼って、ウィスパードの中でも天才?テッサをバカにしているようですが)
それよりも、作者はウィスパードとは何たるかを全て暴いてしまう気があるのかないのかww
まぁ、ウィスパードに関しては何故生まれてきたかとか、ウィスパードの属性を全部あげつらねる~なんてものは必要ないようにも思えますけどね。

ハイジャック後拉致られたり、テッサと宗介に巻き込まれてベヘモスに追い掛け回されたり、招待されたはずのデ・ダナンが(何回殺しても死なない男)ガウルンに乗っ取られたりと、ミスリルに係わってからロクでもない目にあっているかなめ。
根本の問題を解決しているのは、かなめで、自分は御寿司のガリにすぎないのに、必死に戦っているけなげな宗介。
蹴り飛ばされても、懐いて離れない忠犬とご主人様のデコボコカップルの戦いはまだ始まったばかりです。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。