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『フルメタル・パニック!!終わるデイ・バイ・デイ上下巻』 - 賀東招二 [小説]

終わるデイ・バイ・デイ〈上〉―フルメタル・パニック!

終わるデイ・バイ・デイ〈上〉―フルメタル・パニック!

  • 作者: 賀東 招二
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 文庫

いきなり、シリーズ4巻からですww
自分の流れが、コッチから記事にしろとウィスパード(囁いて)います。
1巻から読みましたので、そちらもなるべく早く記事にしますので、できれば合わせて読んでいただけると嬉しく思います。

この作品。
珍しくアニメ先行。後で原作を読みました。
たいてい、面白そうなアニメやドラマや話題の映画は先に原作を読んじゃうほうなんですが、(文字世界重視なもんで・・・先入観入る前に自分のイメージをつくりたい)それを我慢するほど、このアニメには入れ込んだちゅーことです。
詳しくは、ウンチクってますので、前の記事をご覧下さいww
なので、どうしてもアニメを絡めての感想になってしまうと思います。ご容赦くらはい。

では、なるべく原作よりで・・・感想いってみたいと思います。

この後をまだ読んでいませんが、「終わる-」の上下巻は間章的な役割をもっています。
これまで、かなめと宗介の出会いと混乱。
変わりたい関係と、暴いていかなければいけない敵組織、倒すことで成長する内面。
変わった宗介とかなめが、徐々に姿を見せ始めた「敵」に対して、今度どう行動するか。
そういったことを、全部うまくつなげるために書かれた章といえるんじゃないでしょうか。

宗介の変わる内面が主になっていますので、ドタバタと逃げ惑ったり戦ったりのシーンは割りと少な目です。

変わる内面その1 対かなめ
相変わらず、傭兵と学生の二重生活を続ける宗介。
トゥアハー・デ・ダナンを危機に陥れ、逃げた情報部員を追ってシチリアの任務についていたいつもの3人組み。
中間テストをフケることになった宗介が、任務終了後必死にテスト勉強しているのを見て。
「無理があるんじゃないのか?」とクルツ
「今後の身の振り方、どう考えてるの?あんたまだ17歳でしょ?」とマオ
今までの宗介は、戦うための戦士であって、それ以上でもそれ以下でもありません。
高校生やってんのだって、「かなめの護衛」という任務のためです。
命令・任務・戦い・生きるか死ぬか
それが宗介の全てだった。
だから、東京でかなめの側で、「平和」には馴染めず、戦争大ボケかまして、主にかなめに迷惑をかけてるって自覚と戸惑いはあるようです。(そこまでボケじゃなかったのねww)

そんな自分に戸惑い始めた宗介に、かなめは
「ソースケのことはちゃんと信用してるから」と、言ってくれた。
動きそうになった宗介の気持ちに、冷水をあびせたのは
-千鳥かなめの護衛任務を解く 以後接触を禁止する-
という、命令書でした。
ここで、いったん宗介は、「任務・命令」を選択します。
つーか、この時点で「感情を優先する」とか「自分にとって大切なものを選ぶ」とかちゅーアイテムを彼は持ってません。
そういう風に生きてきたことがなかったから。
生きていた環境の中に、そんな選択肢は存在しなかったから。
足し算をしらないのに、掛け算ができないのと同じです。
でも、なんとなく掛け算の存在を感じている。かなめと過ごした半年間で足し算が分かりかけてきていたから。

でも、かなめと引き離されることには、怒りや、憤りや、別れのせつなさなんかをひしひしと感じ、しかしどうすることもできない自分に、どんどんジレンマという泥沼に落ちていきます。
信用できないAS。動かないラムダ・ドライバ。死んだマッカランの後任に配属されたSRTの隊長とやりあって、けちょんけちょんにやられ、手も足もでなかった自分。
信じられないのは、ASなのか?ミスリルという組織なのか?それとも自分自身か??

いままで持っていなかった感情に翻弄されて、テンパったまま「ベノム」と同機種のASが暴れる香港へ投入された宗介。
気持ちの整理も、解決の糸口もつかめないまま、思考の渦の中に飲まれるように、信じられない凡ミスまで犯し、とうとう任務を放棄して街に逃げ出します。
アニメを見たときは、よわっ!と感じました。
なんちゅー弱いねん。(フッ)
あぁ、でも、彼にはパーツが足りなかったのね。
普通は持ってるだろう、感情のパーツや選択肢。それを見つけるまでそりゃ動けんだろなぁ。と納得しました。

宗介のトリガーとなったのは、(まだ生きていたのかよっ)ガウルンでした。
ガウルンが望んだのは、殺人兵器のようになんの感情もなく、ただ戦うだけの眼をした、昔の宗介=カシム。
そういえば、彼は、宗介のことを「カシム」としか呼んだことがないな・・・。
ミスリルやかなめの影響で、人間らしい(?)感情を、カシムが持ちつつあることをガウルンは許せなかった。
彼の、歪んだ愛です。
ガウルンは、カシムも自分も「強者」だと言い、宗介に
「弱い奴らと群れるのは楽しいか?」と問います。
それでも動かない宗介に、「かなめを殺した。」と告げることで、宗介の中にあった全てを吹き飛ばします。
ぐるぐるも。ジレンマも。何が大切?そんなものはどうでもいい。仲間?信頼??・・・・カノジョハシンダ。

真っ白になった、精神の宗介。
かなめが本当に死んでいたら、たぶんガウルンが望んだとおり「戦うだけの存在」にもどったでしょう。
でも、卵から生まれた雛状態の宗介に最初の刷り込みを行ったのは、さっき死んだと知らされたばかりのかなめでしたwww。

かなめは、ほんのさっきガウルンが宗介に向けた「強者」とは反対の評価を宗介に下します。
「ほんと、臆病なんだから。」
「戦うだけの存在」ではなく、「相良宗介という個」に対する、正確な評価です。

刷り込み完了。
宗介は、こうして持っていなかった大切なパーツを手に入れました。
最終的に、彼は、「任務」だからではなく「自分の意思」で、彼女を守ることを決心します。
やれやれ・・・。

変わる内面その2 対アル(アーバレストAI)
ど、長くなってきた。疲れてきたのでさくっと簡単に。
ぐずぐずと悩んでいる宗介が、単なる気まぐれでアルと話す場面。
フラグが立ったと、バニからのメッセージを聞かされます。
フラグ=「彼の死因」というセリフっすね。
アルは特別なAIです。バニが移植されてるっぽいですね。
たぶん・・・敵のたんなるラムダ・ドライバを搭載したASとは違う。
アルに重大な秘密があるようにも思います。
あなたなくして、ARXは完成されない。つまり、アルと宗介の信頼関係がARXシステムを完成させるということでしょうか?

刷り込み完了後の、宗介が乗ったアーバレストは恐ろしいほどの強さを発揮します。
つまり、戦う機械ではなく、意思のある人間が乗らないと、うまく作動しないつーことですよね。
宗介とかなめ。宗介とアーバレスト。そして、ウィスパードとしてのかなめとARXシステム。
なかなか、今後の展開も楽しみになってきました。
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コメント 2

remora

あと5秒ぉ~~ アイしてるぜぇ~ カぁ~シぃぃぃムぅ~~~♪

あれから3ヶ月・・・

よぉ~・・・ ずいぶん待ったぜ、カシムぅ~~~

こちらも随分待ちました・・・貴方の再来を。w

ガウルン、アイの最終章であります。

注) これから以降、本作の主題とはズレまくりな感想です。
  はっきり言って、迷惑なコメントです。まったくもって、すみません、、、

爆散程度では決して死なない、しぶといヤツ・・・
またきっと、ご登場いただけるものと信じておりました。

装いも新たに、ガウルン再登場~~♪ ・・・って、手足無いやンっ;;;

ハァ~・・・
このお話で、ついに永久のお別れとなってしまいました。。。
残念であります。 orz

某紛争地域で偶然出逢った宗介の、聖者の様な瞳に魅入られたことから、
ガウルンの「異常な」アイは始まったのでありましょう・・・w

(俺のキャンプに来てみるか? 飯も弾薬もASの部品もあるぜ?)
(断る)
(そうかい。じゃあ達者でな) ((うるうる。。。))

拒絶された宗介への想いは、その後、
宗介と同類の目を持つ「飛」兄弟(*)を手元に置いて育てることを、ガウルンに決心させます。
((言い切ってしまってイイのか?・・・;;;))

(*)
アニメ版では製作スタッフの機転(♂ファンへのサービス?)により、「夏」姉妹に置き換わったようですが。w
果たしてあのガウルンに、少女を引き取って育てるような甲斐性があったものやら・・・w

しかし前作、ぺリオ諸島での宗介との再戦で、ガウルンは愕然とします。

「がっかりだぜ、カシム。ちったぁ、腕を上げてるかと思ったんだがな・・・!」

あの殺人聖者カシムの瞳が曇っている・・・
カシムは、ミスリルやあの学校の連中に会って、くだらなくなった。
このままでは、あの瞳は死んでしまうっ;;; ((おいおい;;;))

カシムとの心中かなわず、あれから3ヶ月・・・

こーしてはおられんっ!!
膵臓ガンだろーが、手足を魚に喰われよーが、寝コケている場合ではないっ!
カシムを救わなくてわっ!!;;; ((マヂかよっ;;;))

本作のガウルンは、これまで以上に破滅的です。
(実際には、「飛」兄弟にあれこれ命じて、自分は寝コケてただけですが・・・)

そして、カシムを惑わす最大の障害、千鳥かなめの排除を図ります。

これら一連の謀略は全て、宗介と再会するためだけに仕組まれた様に感じます。
再会を果たしたガウルンは、宗介を徹底的に追い込みます。
かなめの死を告げて、絶望の淵へ・・・
自分と宗介がかつて、共に生きた虚無の世界へと。

しかしガウルンは知っていたはず。「障害の排除」は成功しなかったことを。
それでも敢えて下劣を装い、はかない「ハッタリ」をたたみかけます。

「そぉだ、俺が殺した! さあ憎め!!」

その姿には悲壮感、思いっきり漂ってました。。。

たてつづけに響く6発の銃声。しまいには、仕掛け爆弾で木っ端微塵・・・
彼は逝ってしまいました・・・今度こそ確実に。。。 orz
((もう出てこなくてイイです。また出てきたら・・・、それはもう、どっかの種アニメと同じ))

そして、あとはご存知のとおり・・・、
宗介はかなめと再開し、決定的な「刷り込み(w)」を経て、彼は自分の意思で一歩を踏み出して行きました。

手に入らないのならば、いっそ壊してしまえっ!!;;;

ガウルンの最期には、そんな悲しい逆説的なアイを感じます。w
ガウルンにとってカシムを「壊す」とは、すなわち、「聖者」でなくしてしまうこと・・・
まさか、そこまで深読みしてハッタリかましてたとは、よもや思いませんが・・・w

好きなキャラって、行間ワールド、どんどん広がっていきますねぇ~

はい・・・今回も失礼しました・・・。
by remora (2005-11-06 19:50) 

にーに

>remoraサマ
あえて触れなかった、 「変えられなかった内面 対ガウルン」
補完ありがとうございますww
えぇ、あなたの為にとっておきましたとも。

どこまでも、どこまでも。
だんだん身体を失いながら、(前回どちらかの足が義足だった)
カシムを追うガウルン。
そこにあるのは、一種異常な愛としかいいようがありません。
そして、そのガウルンをこよなく愛しているあなたに、この記事をささげますww

毎週、毎週。
TSRで見ながら、「ガウルンはもう出てこないって~」って言ってたのに、
ガウルンの再登場を信じて疑わなかったあなた。
最終話で出てきたときは、ホントびっくりしたよ。
うわ~remoraちゃんが呼び寄せた~~ってww

>ガウルンにとってカシムを「壊す」とは、すなわち、「聖者」でなくしてしまうこと・・・
まったくそのとおりだと。どんな手を使っても、彼が手にいれたかったものは「聖者」だけだったんっすよね。
望んだものはカシムの生でも死でもなく、ただあの聖者の瞳だけ。
そのために最後のカードを切りました。
一瞬の刹那。
彼に死を与えたカシムは、彼が望むとおり聖者の瞳だったんでしょう。
・・・ある意味究極のアイですなぁ。

本文で書ききれなかった、ガウルンが宗介のことをカシムとしか呼ばなかった。
の、意味。
その後、宗介は、お前は誰だと聞かれ
「陣高 2年4組・・・・・・相良宗介だ!」と叫びます。
ガウルンが死んで、一緒に殺人聖者だったカシムの存在も消えてしまったのでしょう。

彼のアイの昇華と、ご冥福をお祈りします。
by にーに (2005-11-07 01:32) 

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