SSブログ

『フルメタル・パニック!! つづくオン・マイ・オウン』 - 賀東招二 [小説]

つづくオン・マイ・オウン―フルメタル・パニック!

つづくオン・マイ・オウン―フルメタル・パニック!

  • 作者: 賀東 招二
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 文庫


一応、アニメ化されている以外は記事にするつもりはなかったのですが。
・・・・・・・。
いかん、消化不良を起こしそうでww

現在、TSR以後のお話については、アニメ化の噂も聞いておりません。
製作されるのか、されないのか予想も付きませんが、アニメから入った人の気持ちはめっちゃ分かりますので。
期待して待ってる方。
相良宗介並みに地雷やら爆弾投下やらやりまくりますから、この記事は読まないほうが懸命です。
TSRの記事からフルメタつながりで引き続き読んで下さってる方が多そうなのでお断りしておきます。

[あらすじ]
とうとう・・・アマルガムが動き出した。
かなめと宗介は、今までとは違う選択を迫られる。
かなめの部屋に現れた、レナード・テスタロッサは、かなめに自分の組織へくるように勧告する。
そして、ミスリルに対しての攻撃も予告。
総攻撃にあい、壊滅に追い込まれるミスリル。
かなめを守るため奔走する宗介。
しかし、張り巡らされた包囲から、脱出する術はもはや2人にはなかった。


お話はいよいよ佳境へと。
両親の墓の前で、兄レナードと対峙したテッサ。護衛についた宗介の乗るアーバレストと敵ASとの対峙でもあった。
「いいかげん、彼らを見限ったほうがいい」
「無駄です。兄さんはわたしの敵だから」
ミスリルと、アマルガム。
ウィスパードとしてのテッサとレナード。
避けられない戦いの火蓋は切って落とされた。

東京の宗介とかなめにも変化はおきようとしていた。
長編に初めて顔を出した、林水会長ww
短編(ふもっふ編)では、ずれている方向が宗介とかぶるためか?ナイス、ボケ突っ込みコンビだったのですが、初登場はシリアスで、重大な場面となりました。

「そろそろ、無理だと思うよ?」
「君がこの学校に来てからおきた2度の事件(ハイジャックとシージャック)。その中心に必ず千鳥かなめがいる。そして、君の不在と、事件を収集する謎の組織。君が何者かを詮索するつもりも、千鳥が何故追われるのか知るつもりもない。だが、事件に巻き込まれる一般生徒は、このままではいられないだろう。」

林水会長閣下は、その聡明な頭脳でほぼかなめと宗介の事情や秘密を見抜いていました。
それを鑑みて、宗介達のフォローに回っていたようで・・・。
会長閣下!タダのネジはめ間違った守銭奴だけではなかったようです。
格好よすぎ!!(黒キャラ好きの血が動きます)

宗介が、デイ・バイ・デイで望んだ、いや、もっと以前、陣代高校でかなめと出逢った頃から、憧憬を抱いた平和で暖かくそして明るい場所。
彼女は、そんな象徴でもあり、宗介にとっては唯一守りたかった 『彼女とのここでの暮らし』 が破綻しかかっている。
砂の上に築いた夢の城が崩壊していく、ゆっくりと。確実に。

かなめとの帰途、宗介はかなめを連れて逃げようかと考えたらしいです。
ミスリルも、アマルガムも、何もかも関係のないところに。
全てを捨てて・・・。
自分がかなめを守る。
ひっそりと名も捨てて生きていけばいいのではないか。
でも、どうしてもそれを口に出すことはできませんでした。
出てきた言葉は

「千鳥、手をつなごう。」

唐突の宗介らしからぬ言動に、かなめも読者も戸惑います。
(どっ・・・どうした?宗介???)
でも、なんだか。
こう、断ってから手をつなぐのって、下手なキスシーンより色っぽいですね。
こっそりとか、手と手が触れ合っておずおずと・・とか。酔っ払った勢いで(それは自分だけかww)とかは、よくありますが。
いままでの宗介がアレだからなのか、彼の切迫した気持ちが伝わってくるからなのか。
口に出して確認する宗介に、シリーズ初!男の色気のようなものを感じて、ついでに関心してしまいました。

オン・マイ・オウンより1冊前のベリー・メリー・クリスマスで、テッサに気持ちを問われた宗介は、はっきりと「千鳥が好きだ」と明言しています。
つーか。
今まで気がつかなんだんかい!!と、
いささかがっくりしましたが、自覚?・・自分の気持ちを許容?した宗介は行動と思考の進展がすばやいです。


手をつないだまま(が、かわいい)かなめの部屋に戻った二人を、レナード・テスタロッサが待ちうけてた。
かなめに自分の組織へ来るよう勧告する。
そして、ミスリルに対する宣戦布告。
これから作戦が開始される、その前に。自分がかなめを伴いたいのだと。
淡々と、しかし狡猾なレナードは、最後にこう言い残して去ります。
「テレビのニュースで35人を殺害した犯人が捕まっていたよ。簡単に調べただけで、君はその3倍、100人以上は殺しているよね。君だけがみんなから、彼女から好かれているのは不公平だと思うね?」

レナードの毒針のような一撃。
より、深刻な心理的被害を被ったのは・・・・宗介でした。
あぁ、もちろん、レナードはそれを狙って撃ったんですけどね。
タッグを組めばなかなかナイスな働きをするこの二人。かなめはウィスパード。
なんだか、恋愛感情らしきものも入ってるから相乗効果で囲みを突破する勢いがこの二人には・・・・ある。
ちょっとした心理操作で、かなめに不信感を植え付けておけば・・・歯車がかみ合わないこともある・・・フフフフ
くらいの気持ちだったのか。それともすべてが計算ずくだったのかは、分かりませんが、実はレナードの言葉がその後の二人の行動に大きな影響を与えることになりました。

かなめをメリダ島基地に保護しようとカリーニンと連絡をとる宗介。
だが、アマルガムの攻撃は、迅速を極めた。
シドニーの本部はテロにより、壊滅状態に。そして各基地、デ・ダナンが駐留していたメリダ島も総攻撃にさらされる。
正規ルートをはずれ、まんじりともせず車でヘリのピックアップポイントで待つ二人に包囲の輪が迫る。
逃げて、逃げて、逃げて・・・。
かなめを渡すことだけはできない。
早朝の東京で容赦なく繰り広げられる戦闘は、無関係な、平和の世界の住民をも傷つけることになります。
レナードの言葉どおり、かなめを助けるためには容赦も躊躇もしない宗介。
ようやくたどり着いたヘリは目の前で撃墜。搭乗員は即死だろう。かなめもデ・ダナンで言葉を交わしたことのある隊員だった。
かなめと宗介に残されたものは、ヘリが運んできたアーバレストだけだった。

突然襲われたメリダ島にも、ラムダドライバ搭載のASベヘモス3機が迫る。
唯一対抗しうるアーバレストも宗介もピックアップが適わず、今はメリダ島からは遠い。壊滅状態に追い込まれた基地を捨て、テッサは補給のままならないデ・ダナンを発進せざるを得なかった。

ECS不可視モードで姿を隠し、宗介とかなめは、ようやく敵から逃れた。
先刻かなめのPHSに送られてきた画像は、恭子が捕らえられ身体に爆弾を巻かれていた。
逃げるなら、爆破する。
恭子も、陣代高校も。
自分のせいで関係ない人たちや、大切な仲間が傷つく。
もういい。
もう手はない。
自分さえレナードについていけば、全ての災いには終始がつく。
諦めかけるかなめを宗介は必死に説得する。それだけは・・・できない。

「きみはさっき言った。俺がこわい。好きだがこわい、・・・俺もそうだ、君のことが好きだ。だがこわい。理解できない。だが惹かれる。その繰り返しだ。初めて会ったときからずっと・・・・。君は俺の世界の全てを変えてしまった。」
「朝まで考えていた、ミスリルも学校も全て捨てて二人で逃げるべきではないかと・・。だが、2人だけでは意味がないんだ。学校やミスリルや・・・そうゆう仲間のなかで笑ってる君が、俺には必要なんだ。」
「だから俺は・・・全てを守る。君だけではなく、君が属する全てを守る」

一種、エゴとも言える宗介の主張。
彼は、この時。自分の気持ちしか考えていません。
彼にはできなかった。どうしてもできなかった。
何もせずに、戦わずに、彼女を差し出すなんて。
彼女と過ごした9ヶ月で、宗介にもたらしたものは人を愛する気持ちと、平和のなかではいかに自分は異質な存在なのかという自覚。
血塗られた手で大切なものを守る。
守るためには容赦はしない。
そして、その手はまた血塗られ、彼女の世界からもっと遠く離れてしまう。

彼の手にあるものは・・・彼女と彼女の属する世界を守るんだという意志だけ。
なんて悲しい存在なんだろう。
もう、いいんじゃないか。とすら思いました。
彼女を守ることはできる。でも、彼女の属する世界の全てを守ることは、かなめがウィスパードである以上、無理なのではないか。
ミスリルなんか捨ててしまって、例え半分が瓦解してしまっても、かなめと一緒に崩れ落ちてしまった半分を新たに作ればいい。
その場所がアマルガムであれ、宗介が生きて来たような世界であれ・・・。
でも、彼は決してその妥協だけはしないんだろうな。
それが更に彼女や自分やたくさんの人を傷つける結果になったとしても。
彼のエゴに腹がたち、理解できるだけに哀れに思い、どうにもならないジレンマに宗介と共に落ち、涙するのでした。

宗介が下した決断は、かなめも恭子も陣代高校のみんなも自分ひとりで助け出すことでした。
無謀としか思われない作戦でした。
でも、この道しか宗介には残されていませんでしたから。
かなめをショックガンと薬物で混沌させ、置き去りにして、宗介は作戦を決行すべく敵陣に乗り込んだ。
レイスの助けを得て、なんとか恭子を助け出した宗介とアーバレストの前に 舞い降りる剣 レナードの乗るASが姿を現す。

レナードのASは火器も、それどころか武器たるものは一切使わず、素手でアーバレストを破壊する。
アルの声が響く。
「ジェネレータ停止・・・コンデンサ全て破損・・・・機体を・・・放棄し・・・脱出・を」
「ご苦労だった。アル。除隊を許可する」
それでも、戦う意志を捨てない宗介。共鳴でレナードからのメッセージを受け取ったかなめは、宗介を助けるためにレナードについていくことを承諾する。
・・・必ず助ける。絶対に連れ戻す・・・・この場所に。

怒涛の展開です。
時間軸では、たった1日の話にすぎません。
宗介側の追われ、逃げ、戦い、敗北。
デ・ダナン側の戦闘に継ぐ戦闘シーン。
息つく暇もないほどの展開に、読み終わって疲労感すら感じました。
ミスリルは壊滅状態です。どうにか生き残ったデ・ダナンも万全の状態とは程遠く、宗介を助けてやりたくても連絡を取り合う術すらありません。
全てを失った宗介。かなめも、後ろ盾も、アーバレストさえも。
敵は強大です。
レナードはウィスパードとして「完全領域」との交感方法まで習得しています。
他のウィスパードとは一線を画する存在です。
宗介に残された唯一の意志だけで、これからかなめを救い出さなければなりません。
どんな起死回生の一撃をくりだしてくるのか。(作者はここまでの全てを壊したことで、きっと大きな困難にあうことでしょう)
期待感は大きく膨らみます。
ただ・・・・・。
悲しいことに。
キャラクタ(?)の中で一番好きだった・・・アルが・・・アルが・・・(涙)
魚に食われても生きていた根性の人のように、再び元気なアルの姿を拝める日をココロよりお待ちしています。
(宗介や、かなめはどうでもいいんかい!!)


nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 1

remora

壊れてしまいましたねぇ・・・ ものの見事に・・・
これまでせっせと積み上げてきた世界が・・・

(まるで、ガンプラ作りを連想されます。)

林水閣下はじめ、笑わせるキャラを輩出してツボを突き続けた短編集。
これらを長編にも少しずつ散りばめて、伏線にしてきた面白さ。
長編は戦闘シーンを含むシリアス展開がメインでありつつも、
宗介を巡るかなめ・テッサ・ガウルン(?)のアイの情景も描かれていたりして。(w)

(ペーパーかけてぇ~、塗装吹いてぇ~、チョッとイヂってみたりぃ~)

それが長編の前作・前々作で、微妙に壊れ・・・
ガウルンが逝ってしまいました。((泣))
宗介がテッサをフってしまいました。((許す))

(無理やり押し込んだら、関節部品がポキっ;;;)

そして今作、壊すわ壊すわ・・・
ミスリル崩壊。アーバレスト大破。かなめはさらわれ、宗介は素性を明かして陣高に別れを告げ・・・

(えーいっ、こんなもンっ!!;;; ゲシっ! ゲシっ! ゲシっ!)

あまりに壊しまくって、ガトー(賀東)さんも途方に暮れているのではと心配になります。

(・・・・・・・・・ 。,_.. orz )

この後の展開が気になるところです。
アルのことも。(w) これで終わり?;;;と思いつつも、
東北の鄙びた温泉宿でつつましく働く宗介も見てみたく思い・・・
ただ・・・次に出たのが・・・、
短編集 『悩んでられない八方塞がり?』

八方塞がり? 行き詰ったの?;;;・・・それでまた短編に?;;;

(巻末の初出時期を見て、ほっ・・・と。)
by remora (2005-11-19 17:30) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。