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『精霊の守り人』とアニメ「精霊の守り人」 -上橋菜穂子 [小説]

4月からNHKBS1でアニメが放送されます。
今からとても楽しみにしていますw

以前から気になっていた作品ではあったのですが、(たぶん、昨年放送されたNHK-ラジオドラマくらいから?)
こってこての児童書ファンタジーということもあって、なかなか手が伸びませんでした。
しかし、アニメ化を知り毎回のパターンで、先に原作を読みました。

先行放送の1話を見ましたので、少しアニメよりの感想になるかもしれません。

アニメを楽しみにされている方もいらっしゃると思いますので、どこまでネタばれするか迷いますが、知りたくない方は飛ばすか、読むのやめてくださいねw 

『精霊の守り人』は、“守り人シリーズ”として、10冊くらい出ている人気のファンタジーシリーズです。
3巻目の『夢の守り人』まで読みました。

主人公のバルサは、皇族が事故でつり橋から落ちたと知り、通りがかった行きがかり上助けることになります。
助けた子供は、新ヨゴ皇国の第二皇子でした。
バルサは、短槍使いの腕利きの女用心棒でした。
王子を助けた礼にと招かれた二ノ宮で、厄介ごとを背負い込むことになります。
助けた第二皇子のチャグムは父である帝に命を狙われているので、バルサに連れて逃げて欲しいとチャグムの母である二ノ妃に告げられます。
帝に命を狙われている以上、皇子の身分を捨て、市井に紛れてただの「チャグム」として生きるしかないと。

命を狙われる原因となったのは、毎夜起きるチャグムの異変でした。
眠っているチャグムの身体が、青く光り、
「帰りたい」と繰り返す皇子を、新ヨゴ皇国で、絶大な権力を持つ星読み博士は皇子の身体にはこの世のものではない何かが取り憑き、皇子はさなぎのような役目をしているというのです。
新ヨゴ皇国は、皇族は神の子孫であり、神そのものでもあります。
その神が「この世のものでないもの」に取り憑かれるなどということは、あってはならないことであり、帝の権威を、そして国の安寧を守るために、「取り憑かれた皇子」は存在してはならないのです。

バルサは、帝の追っ手から、そしてチャグムの中に宿ったものを狙う「なにか」から、チャグムを守り、逃げることになります。

と、いうのがサワリの部分です。
アニメ1話もこのあたりまででしたので、ここいらまでは、ネタバレOKってことでw

アニメの絵に感化されて、中国風な話しなのかと思っていましたが、新ヨゴが半島にあるとされているところから、朝鮮に近いのかな?などと考えもしました。
しかし、話が進み、問題のチャグムに取り憑いた「何か」が分かるにしたがって、眼に見える世サグと見えない世ナユグという世界が重なってこの世は形成されているとう考え方、水の守り手「ニュン・ガロ・イム」の卵を産み落とされたチャグムは精霊の守り人「ニュン・ガロ・チャガ」なのだという設定などは、アメリカ大陸原住民のインディアンや、オーストラリアの原住民アボリジニを感じたのは自分だけではないと思います。

作者である上橋菜穂子氏は、民俗学の学者であることは有名ですので、彼女の思考背景にアボリジニがあったとしても不思議ではないですね。

主人公が女としてはだーいぶトウがたって、いろんな曲がり角も過ぎた30歳のおばさんであること。
30歳→おばさん なのに、めっぽう強い短槍つかいで、女だてらに用心棒なんて仕事をしていること。
子供を持たない彼女が、ちょうど自分の子供と同じ位の年齢の、しかも「元皇子」なんてやっかいを引き受けることから、
(あぁ、この土台ならきっと豪華な屋敷を建てることができるだろうなぁ・・・)
と想像できます。
基礎工事のしっかりした作品です。はい。

まず、アニメを見た感想から。
きれーなアニメですねぇ。背景の美しさに、ちょっとどきどきしました。
チャグムが川に落ちたシーンは、一緒に見ていた娘が
「川が眼に痛い」
と言っていました。
バルサが30と言われればそう見えるし、25と言われればそうも見える。
確かに、30歳って外見はそーゆー年齢なのかもしれません。
強いねーさんは好きです。ほのかな色っぽさも尚よし。

チャグムは、原作の挿絵ではみずらを結っているように描かれていますが、左右の横髪を長く伸ばして、すそをダンゴに結んだ独特の可愛い髪形です。
こっちのほうが好き♪

ですが、OPを見ているかぎりで、近い将来、チャグム、あの髪をばっさり切られて、小汚い男の子に成り下がってました。
えぇ~~!!
アリかぁ?!
チャグムというキャラの魅力の一つは、「元皇子」であった品のよさでもあります。
そして、その負った使命が、水の守り手の卵を孵すために選ばれた、「精霊の守り人」なんです。

髪の毛切んなくてもいいじゃん!

個人的に、もっと違うバージョンの、可愛いチャグムを見たかった私としては軽いショックです TT

反対にタンダは、イイ感じのお兄ぃさんに仕上がってます。
もともと原作でも、包容力のある優しさの権化みたいなキャラですが、
垂れ目気味の目元と、頭の良さそうなセンターわけ。
あぁ、これがタンダなんだ。
ちょっと結婚したくなるタイプです。あたし的にw

動き出したバルサ・チャグム・タンダを見ていて、彼らがどんな物語を紡いでくれるのか、楽しみになります。
精霊の-だけで、26話はちょっときついんじゃないか?と思ったんですが、オリジナルエピソードも加えての構成。
アニメはアニメならでわの「精霊の守り人」が作り上げられていくことを期待しましょう。

この世には不思議な世界があって、自分たちが生きている世と時に重なりあい、また離れ、どちらもが影響しあっている。
原作は、どちらかというと世界観を大切に書かれていると思います。

サグとナユグ。
原住民であるヤクーと、ヤクーの伝承を受け入れることはできない新ヨゴの皇家。
ヤクーの呪術師トロガイと、新ヨゴに使える星し読み博士。
それらたくさんの対比の狭間に落ちてしまったチャグムとバルサ。

アニメは、人と人とのつながりに重きをおいて描かれていくような気がします。
フィールドで自分たちにできる精一杯で生きるキャラクター達に焦点を絞ったカメラで追っかけるように。

原作は、児童文学なのでひらがなが多いですし、最初ちょっと説明がまったりしていて、慣れるまで読みにくかったですが、アニメで興味を覚えた方は手にとってみられてはいかがでしょうか?
私も、シリーズは一応順次読んでいくつもりです。

(蛇足)私が図書館で借りてきた『精霊の守り人』を見て。
「その本、知ってる。学校の図書館にあったよ」
目立つ装丁なんで、印象に残ったんでしょう。
つーか、読めよ。子供達w
誰も借りてなかったそうです。これは、大人のためじゃなく、あんたらのために書かれた本なんだからさ~!


守り人&旅人 スペシャルページ:『精霊の守り人』を読んでみようかと考えている方へ(偕成社)

精霊の守り人 オフィシャルサイト


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まなつ

初めまして。

精霊の守り人ファンです。
先行放送もすでに観て、その素晴らしさに、本放送を待つ状態です。

少しばかり、こちらの記事に書かれている事でそれはないと思われる事を書かせていただきます。
こちらで、半島の事があるので朝鮮半島が影響があるのではという事ですが、守り人の中で描かれている生活様式を観る限りそれは一切ないと思われます。
まず、二の妃を初めとするバルサや侍従長が、正座をしていること。
これは、中国、そして中国の属国であった朝鮮ではありえないことなのです。
正座とは、犯罪者、奴隷的地位にいる人間が行う姿なので、身分の高い妃などがする事はまずないのですね。
それから、バルサが丼を持ち上げて食事をするシーン、これもまた朝鮮では卑しき者達がすることであり絶対にしないのです。原作に弁当も出てきますが、弁当もまた同じで朝鮮、中国では冷たい飯を嫌うので弁当を作ると言う概念が当時はないのです。(ノギ屋の弁当は温かいですが/笑)
また、チャグムやバルサが足袋を履いているのですが、これは朝鮮では豚の足(チョッバリ)とみなし、非常に低俗なものとして、これを穿いて過ごしていた日本人を「倭人(日本人に対する蔑称。小さい人間と言う意味です)は豚の足をしている」と非常に馬鹿にしていましたので絶対に履きません。
これもまた朝鮮文化とはかけ離れているものなのです。
畳がある、布団がある、それなどを全てあわせると、やはり守り人のベースは原作者の言うとおり日本だと思いますね。
ただ、歴史や伝説の書きかたなどは、仰るとおり少数民族から考えられたものだとは思います。
by まなつ (2007-03-30 18:52) 

にーに

>まなつ様
はじめまして、コメント有難うございます。

>先行放送もすでに観て、その素晴らしさに、本放送を待つ状態です。

楽しみですね、ただ次週は1話放送(あたり前の話ですがw)なので、2週以上待つことになりました。なんだか、焦らされている感も一入で・・。先行放送、苦痛なもんだと知りましたw

朝鮮・中国の文化や時代背景に非常にお詳しい様子、細かい説明も有難うございます。
『精霊の守り人』の世界観は朝鮮がベースになっている。それはありませんねw
新ヨゴの創世記である伝承が、ヨゴ王国(?)から逃れた王子が、半島に渡って国を作った。

ご存知かと思いますが、古代朝鮮が小国家に分かれていた頃、建国神話に同系列(王子が国を追われ、半島に南下して新しい国を建国する)のものが複数あることを思い出し、イメージが重なりました。

原作は、色んなものを混ぜ合わせて世界観を構築されているのでしょうし、またファンタジーとはそういうものだと思っています。

文末に添えさせていただいた偕成社のHP(リンクはってあります)に、金原瑞人氏がコメントを寄せられていました。
金原氏があげた、日本の女性ファンタジー作家3人(荻原規子、小野不由美、上橋菜穂子)の作品が奇しくも私は大好きで、(自分自身はファンタジー好きだという自覚はないのですが・・)いくつか、このブログにも作品を紹介しています。

小野不由美氏は十二国記シリーズで一般的(?)にも有名ですが、荻原規子氏もすばらしい作品がありますので、ファンタジーが好きな方なら是非手にとってみてください。
お薦めですよ♪
by にーに (2007-04-03 11:58) 

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