SSブログ

『アルスラーン戦記』 12巻 暗黒神殿 - 田中芳樹 [小説]

暗黒神殿 アルスラーン戦記12

暗黒神殿 アルスラーン戦記12

  • 作者: 田中 芳樹
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/12/07
  • メディア: 新書


み・・・皆殺しかよ orz
またしても皆殺し予感満載ですか?
前回、次の巻の発刊への期待と不安をあおりながらもわずか1年余でいともスルっと新刊が出たアルスラーン戦記12巻。
アルスラーン戦記は通勤途中に細切れで読むものではありませんね。
例えば、金曜の夜なんかに、夜更かし覚悟で一気読み・・・・が、適しているんですよ。
あくまでも「私には」なんですけどww
電車のアナウンスに邪魔され、読んでるつもりでも目で追っていただけでアタマに入っておらず、
(あれれ??キーヴいつ沸いて出た??)
ってことになってました。
慌てて戻ったりして。
ちょっともったいないことした1冊でした。


いい場面(ところ)で終わった前巻。
ペシャワール城に大挙して押し寄せた蛇王ザッハークの魔軍。
ペシャワール城での死闘から始まります。
ペシャワール城にこの時詰めていたのは、片目のクバードを筆頭に、メルレイン・トゥース・イスファーン・ジャスワント。
戦の準備もなかったところに、空から襲撃パスル軍は分断を余儀なくされます。

個々人は卓越した戦闘能力を持つパルス軍のお歴々も苦戦を強いられます。
東の守りの要であるペシャワールに万騎馬長のクバートが指揮をとっているのは分かります。
ちょっと意外だったのは、ジャスワントがアルスラーンの身辺から離れここにいたことです。
ジャスワントは、パルス国に使えているのではなく、アルスラーン個人に忠誠を誓っているイメージがあったからです。
元々はシンドゥーラ人だった彼の特権でもあると思っていましたが、即位4年(?)ですっかり組織に組み込まれておりました。
「人は運命には逆らえませんから」ですかw (←分かる人にしかわからないネタで申し訳ない)

しかしこの戦い。
いくら個が優れているとはいえども、もろに「各個撃破」になっとりますがな。
魔軍側の将が、ヤン・ウェンリーだったら分断された時点で負けですねw
言ってたこととちゃうやん!って、物語ちゃうやん!って、作者同じやん!!
と、イスファーンが一生懸命戦ってる時にぐるぐるしてしまいました。
「援軍はピンチのときに沸いて出る」
辛くも魔軍を追い払えたパルス軍でしたが、王都エクバターナへの報告と指示を仰がなければなりません。
・・・・・でてくるのか?アルスラーンと愉快な両翼。
と、思いきや場面は我らが愛すべき悪者(悪あがきともいう)ヒスメルへと移りました。

ところで、前回出揃った銀の腕輪の女性3人。
1年の間に誰がどこにいて、どこへ向かおうとしているのかすっかり忘れてしまっていました。(歳か?)
読んでいる間に再確認しつつ・・・。

レイラは前王妃の元に到着しておりました。ザッハーク側に付かされている様子です。
初めはタハミーネがレイラを側において不振に思ったキーヴが、
そしてイスファーンはそのキーヴの動向に引き寄せられるようにタハミーネの住まう「プラタナスの園」へ向う。
タハミーネは腕輪のことを以前から知っていて、恐らく実子を探す手がかりはこれしかないだろうと思っていました。
腕輪からレイラを実子だと信じて(信じたい)庇いますが、まさか3つもあるとは思ってないでしょうから
同じ腕輪が次々の登場したらどうするんでしょうかね。
もう一人の腕輪の持ち主パリザードはエステルとともにエクバターナを目指しているわけですが、まだアルスラーンとの再会を果たしておりません。
レイラの情報(腕輪も含む)は、黒軍師ナルサスにも伝えられているので、今後腕輪はナルサスに利用されるのです。(確定)

タハミーネのもとへイスファーンを案内した少女アイーシャ。
「よく転ぶ」「金銭面でしっかりしている(守銭奴ともいう)」
なんかいいですね、この娘w かわいいです。
えっ?イスファーンの嫁決定ですか??

さて、そろそろ冒頭の「皆殺し」発言の箇所に触れていきたいと思います。
4年間平安を維持していきたアルスラーンのパルス。王都エクバターナでは地下を中心にザッハークの部下たちが不穏な動きを始めました。
王都決戦も近いやもしれません。

そんな中。一室でお茶しているアルスラーンとナルサス・エラム。
余談ですが、私は『アルスラーン戦記』という作品を絵で想像したとき、激しい戦場シーンでも、エクバターナの王宮やペシャワール城でもなく、
ましてや、ナルサスが絵を描いている後ろ姿でもなく、アルスラーンを中心にナルサス・ダリューン・エラムのメンバーがお茶している場面なんです。
正確に数えたことはないのですが、まず間違いなく戦闘シーンの方が多いはずです。
ですが、キャラクターの心理描写やストーリーのキーになる重要な場面。
この方々、なんか飲み食いしてるんですよw どうでしょうか?
きっと印象に残るんでしょうね。 おかげで、アルスラーン・ナルサス・ダリューン・エラムが集まればお茶してるんだろ?的刷り込みが完了したわけです。
話しがそれました。
不穏な空気が日に日に濃くなるのに、エラムが言います。宝剣ルクナバードが再び敵に狙われるのではないか?と。
それに答えたアルスラーンのセリフからこの部分を抜粋してみます。

  「ルクナバードは私を守り、私はルクナバードを守る。さしあたって、それで充分だ」
   アルスラーンは紅茶を口にふくみ、香気を愉しむようにゆっくり飲み込んだ。
  「歴代のパルス国王は、英雄王カイ・ホスローの魂を伝える宝剣ルクナバードの道具にすぎな
  いともいわれているが・・・・」
   考えながら言葉をさがすようすだ。
  「私はパルスの民衆の道具だと思っている。民衆と私とは、ルクナバードによってつながって
  いる。ゆえにこそルクナバードは
   パスル国にとって聖なる宝物なのだ、と」
          (カッパノベルズ『アルスラーン戦記』12巻P177より抜粋)

そしてアルスラーンが立ち去った後、ナルサスは悪い予感に震えます。
あのナルサスが、です。
彼が感じた悪い予感とは何なのか、これからアルスラーンの身になにが起きるのか?
ここで言及することはいたしません。私には私の、皆さんには皆さんの予想があるでしょうし、それは追って明らかにされるでしょうから、
今何を書いたといしても予想の範疇を超えられないからです。
ただ、ナルサスはこの時点で、自分やダリューンの死を確信したと思えたからです。
だからこそ、「約束してくれ・・・いや誓って欲しい」と若いエラムにアルスラーンを託することしかできなかったのではないでしょうか。

大陸公路に並ぶものなしといわれる雄将ダリューンと、その智略は一国の軍にも匹敵する智将ナルサスが倒れるとなれば、
いわいるアルスラーンの16翼将も無傷ですむとは思えません。
殺さずには終われませんか・・・田中センセー orz

即位4年で、儒学者のようなセリフを吐くようになったアルスラーン陛下、戦わないとお茶目度を増すダリューン、最近クロさ控えめで少し物足りないナルサス
を筆頭に、終幕へ向けて怒涛の展開に、楽しみ半分、終わってしまう寂しさ半分。
愛すべきキャラクターたちをなにとぞ殺さないで下さいと、願う私を震撼させたのは、ブックカバーをかけていたため読み終わるまで気がつかなかった、表紙裏の折り返しに書かれてた作者の言葉。
 
作者をふくめて誰も想像しなかったことですが、昨年につづいて今年も新刊が出てしまいました。(やればできるやん)
この分だと、来年も出てしまいそうです。(そーかそーかとうとうやる気になったな!)
まずいな。(!!!!!)

私たち読者が何よりも恐れているのは、2冊頑張った後「冬眠」に入ることです。
ここは何とぞ、何とぞ・・・・終焉まで一気に・・・伏してお願い申し上げます。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。