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『彩雲国物語 -紅梅は夜に香る』 - 雪乃紗衣 [小説]

彩雲国物語 紅梅は夜に香る

彩雲国物語 紅梅は夜に香る

  • 作者: 雪乃 紗衣
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/08/31
  • メディア: 文庫


(あらすじ)
貴陽に帰ってきた秀麗。
だが、謹慎を言い渡された秀麗は官職も剥奪され仕事はおろか、登城すらも許されていなかった。
しかし、貴陽にあっても『官吏』としてなせること、なさねばならないことに日々奔走する秀麗のもとを一人の青年が訪れる。
曰く、
「ビシッと求婚しにきた」

すっとぼけたタヌキをじゃらじゃらと全身につけた青年「タンタン君(静蘭命名)」と奇妙にもかかわるうちに、秀麗は街の富豪連中の間で絵画の贋作と贋金が流れはじめていることに気が付き、捜査を始めるのだが。


まだかなぁ~
そろそろ出るかなぁ~
っと首をながぁ~くして待っていた彩雲国物語の2部がいよいよスタートです。
ほとんどブログの存在忘れてただろ(殴)
の自分に、あぁ、閉鎖しなくてよかったww
と、思った今日この頃です。

謹慎中とはいえ、我らが秀麗は、ここ貴陽でもじっとしているわけがなくw
早速街でおき始めた問題に首を突っ込んでいくのです。
きっかけとなったのは、幼馴染の三太が持ってきた一幅の絵でした。
真贋を見極めてほしいと(というのは口実で、本当は秀麗に求婚しにきた)という三太とともに、姮娥楼の胡蝶ねーさんに見立てをお願いに行くのですが、それは立派な贋作で、そしてその贋作が今貴陽の金持ち連中や画廊の間に多く出回っていることを知ります。
秀麗は姮娥楼で、もう一つ、問題の絵画に関わる取引にどうやら贋金が用いられていることにも感づきます。
秀麗・静蘭に、何故か「ガツンと一発求婚」に来たはずのタンタン君もつき合わされ、贋作と贋金の捜査が始まるのですが・・・。

に、しても相変わらす事件の底が浅いっ。ww
赤ちゃんプールのような深水です。
推理もんじゃないといえばそれまでなんですが、秀麗が1ページほどで推理したとおり、贋作を追えば容易に贋金作りの犯人もあげられるちゅー、死罪をかけた犯罪にしては浅すぎやしませんか?ww
まぁ、それが彩雲国ですから。
・・・許せますけどね

一方朝廷でも、いつもの主上劉輝と絳攸、藍将軍に尚書省尚書令に据えた元茶州州牧補佐だった悠舜を加えて、人探しをしている様子。
それは、秀麗・影月の同期、碧珀明くん家に関わりの深い人のようです。
そーいえば、アニメで先週、腕に覚えはあるか?と問うた静蘭に、
「うちは芸術の家だから・・・」と偉そうに珀明君ほざいてましたな。
秀麗に負けた4位及第の気だけは強いおにーちゃんかと思っていたら、ココにきてなにやら重大なお家柄のようですw
腐っても(腐ってないって)彩七家。
・・・あと出てきてない家ってどこだっけ?なぞと指折ってしまいますね。


茶州での秀麗に対する処分により、苦悩している人、落ち込んでいる人、憤慨している人と悲喜こもごもですが、
唯一静蘭だけは、しっかりと自分の立ち居地を決めたようです。
それは、秀麗だけではなく、大事な弟である劉輝に対しても同様です。
はじめ静蘭は、自分の身分(前身)を隠すために、またそう育った環境からか秀麗一家以外の人間を「使えるものと使えないもの」に切り分けているだけでした。
死んだはずの清苑公子だとバレて一家に迷惑をかけることだけは避けなければならず、自分自身をも閉じた状態で生活していました。
目立たず・・・でしゃばらず・・・
だが、後宮へそして外庁へと出仕する秀麗を護衛するようになって、自然とばれた元公子の身分。
特に、劉輝や藍将軍にはそこはかとなく地が出ていました。
・・・・本性クロいですけどww
今回、ある程度彼の中である程度方向性が定まり、より自分を抑えなくなってきました。
更にクロさが増しています。
く・・・黒静蘭・・・
萌えですが orz
今後彼がどう行動するのか、ますます楽しみになってきました。

さて本題ですが、(ここからかよっ)
この巻でとても強く感じたのは、劉輝の心理が異様に丁寧に綴られているなぁということでした。
というか、話の筋自体が劉輝の心理を軸に進んでいってるやん・・・って思ったんですよね。
この巻でも登場場面としてはそんなに多くないんですよ。後ろからちょこちょこついて回ってる程度。

秀麗は、茶州で悲しく辛い経験を踏んで戻ってきました。
州牧を罷免されて、役職どろこか配属先もなく、冗官に落とされて謹慎させられてしまいます。
自分達は、ずっと秀麗に同行して成り行きを見ていましたよね。
人命を救うために無茶を承知で奔走した秀麗をはじめとする州府の連中。
やったことは人として正しいですが、国という機関から考えれば単純に「よくやった」では済まされないでしょうね。
どこの社会でも同じですが、ルールちゅうもんは存在するし、ルールはある程度守らなければ秩序が崩壊してしまいます。
なので、秀麗への処分もそう不当なものとは感じませんでした。
誰かが責任をとるなら、それは秀麗意外にはありえない。
一時の謹慎も是であろう。行動を起こした時、秀麗も覚悟の上だったはず。
主上である劉輝が、切り捨てさえしなければまた這い上がるチャンスはいくらでもやってくる。
そして、劉輝は秀麗を切り捨てるはずがない。それも周知の事実です。

このブログでも書いたとおり、前回の『藍より出でて青』を読んだ時に、何より心に残ったのはあとがきの後のわずか10ページほどの劉輝の心理描写です。
劉輝はいいです。 orz で
誰よりも秀麗を認めていて、本当は賛美してあげたいのはやまやまですが、彼女を処断するのは王がやらなければいけないこと。
彼が、王なのですから。
だから、ぼろぼろに打ち据えられて、一筋涙を流し、そして翌日決済したのでしょう。
この orz 感は劉輝だけのものであって、他の誰も共有しちゃいけないんです。
それこそ、処断をくださなければならない王という立場に対する不遜です。
理解することと、同調することは違います。
だからそこ、この10ページに強く惹かれた。

・・・・はずだったのに。
ちょろっと三太にガツンといわれて、同じように orz になる面々。
えっ?登場人物はおろか、物語自体が劉輝に同調してんの!?
全体の・・というか、作者の視点が劉輝寄りなんですよ。
しまいにゃ秀麗まで
「こんちくしょー!謹慎?ふざけんな!!」
なんて言い出す始末。
あんた、州牧だったんだから全責任ひっかぶんのなんか、あったりめーじゃん。
それとも、部下に責任押し付けるほうがよかったのか?

ある意味、王は最大に評価したんですよ。茶州の一件は。
悠舜を尚書令に据えたことで。
なのに、秀麗にこの言葉を吐かせたのは、やっぱり物語全体が劉輝だけが有するはずの orz 感を引きずっているからに他なりません。
だって、ほら。劉輝なら責められても罵倒されても仕方ないって思うだろうなぁ~って思いません?
なんで、こんなに劉輝一色なんだろぉ・・・
もちろん、終章の 「桜が咲いたら」の二人の逢瀬にもっていきたかったのはわかるんですが、それにしてもあまりに露骨すぎやしませんかね?
えぇ~そっちにいくの?ってちょっとびっくりしちゃったもんでw
長々と書かせていただきました。

スタートしたばっかの新章。
藍将軍が花菖蒲の鍔を見つめていたとき、静蘭が送った鋭い視線の意味は?
劉輝が欲しったものと、それを上手く手にいれる芋づる式の方法とは?
王の婚姻問題で蠢動する仙洞省は?
そして、貴族官吏と国試験官吏とは争いごとに発展するのか?
1冊でめっちゃめちゃ張られた伏線。
忘れないうちに、次の巻を~
と、思いきや。
9月10月と連続発刊♪
ビバ、雪乃嬢!

蛇足:冗官という言葉になじみななかったので、辞書でひいてみましたw
むだな官職。無用の官吏。
だって。(だから?)


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『THE MANZAI 3』 -あさのあつこ [小説]


The MANZAI〈3〉

The MANZAI〈3〉

  • 作者: 鈴木 びんこ, あさの あつこ
  • 出版社/メーカー: ジャイブ
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 新書

(あらすじ)
文化祭での「漫才ロミオとジュリエット ほんまは、あんたがアホやねん」以来歩と秋本の漫才を楽しみにている町の人が増えた。
3年に進級した歩たちに持ち上がったのは、夏祭り特設会場での漫才コンビ復活の声だった。
もう、悪目立ちはゴメンだと嫌がる歩。
歩との漫才に張り切っている秋本。
そんな二人を応援するロミジュリ実行委員の面々も加わって三中メンバーが繰り広げる青春コメディー?

コレほどまでに入手に困難をきたした本もついぞありませんでしたなw
まず、発刊を知ったのが発売3日後の7/13
バッテリーのイラストでお世話になった「白玉」さんです。(あさのあつこ著書はココの情報が一番早かったりします)
きゃぁ~~~買いに行かなくっちゃ!!
ぢつは、既にThe MANZAI2で経験済みだったんですが、JIVEという出版社、町の本屋さん程度には全くおいてなかったりするんですよね。(今は2までは文庫化されていますので、文庫はどこの本屋さんにもあります。)
でも、知ったからには一刻も早く読みたい!
わざわざ帰路の経路を変えて大きめの本屋めぐりすること4日間。
どこにもありませんでしたがね。

私には、「新刊がココになかったら諦めろ」という書店が一軒あります。
そんなに大きな店舗ではないんですが、大型書店で売り切れでも意外に残っていたり品揃えがよかったりします。
ちょっと遠回りして、会社帰りに立ち寄るが、ココにもやっぱりない。
店員さんも親切なので、出版社に問い合わせてくれました。
「在庫は・・・・ないですか。増版の予定は・・・・・そうですか・・・。」
予約しても、いつ入るかわからんのか~~ orz
ちゅーことで、ネットで購入に切り替え。
ですが、ここでも1週間から10日待ち。
他に購入方法もないので、仕方なく待ちましたが出荷予定日になっても出荷された形跡がない。
問い合わせると、どうやら手にはいらなかったらしい様子・・・・orz
仕方なく、別のネット販売で購入しました。
今から買われる方は、JIVEのネット販売から直接取り寄せることをお薦めします。

・・・・なんのこっちゃ

さてさて、最初の読みてぇ~テンションもヤヤ下がり、入手した時点で入手したことに達成感を覚えてしまったのですが、本は読んでナンボですので、
下がり気味テンションで感想をお届けしたいと思いますw

最初3Pほど、声出して笑うほど笑わせてもらいました。
中学3年生の夏休みに入った歩たち。
夏祭りの特設ステージで件の漫才コンビを復活させると秋山は言う。
1で登場したとおり、歩には「普通」から外れることに大きなトラウマがあります。
秋山との漫才は、悪目立ちの局地。もっとも普通から遠い場所ともいえます。
やりたくない。やりたくない。やりたくない。
歩はこの一点張りでしたが、文化祭で経験した笑の塊がぶつかってくるような感覚を決してイヤだと思っているわけではありません。
ただ、やはり普通でないことを怖がってはいます。

1で普通をトレースしたがる歩を強引に引っ張った秋山。
それを少しずつ受け入れ、トラウマを克服したかのような歩。
でも、実際。
トラウマの克服なんてそんなに簡単なもんじゃないんですよね。
ただ1度のステージで、仲間たちのと交流で人間一気に変われるもんじゃない。
やっぱり徐々に内面からわかっていくんでしょう。
その様子が歩にみてとれて、あぁ、小説のように(小説なんだけどw)なかなか自分の一番の弱い部分って変えられないよな・・・。
と、納得しました。

それでも、全くの変化がないわけじゃない。
言いたいことを抑えきれなくなって口からぽろぽろとこぼれてしまう歩は、言いたいことも押さえ込んでいた頃とはやはり少しずつ変わってきていました。
友達だから言える?
このメンバーだから抑えられない?抑える必要がないと無意識にわかっている?
例によっておたやんに集まった旧ロミジュリ実行メンバーにはついつい言い過ぎるてしまいます。
この友情が長く続けば、なんでも言いたいことの言える友達に。
壊れる時や、人があれば、押さえ込むのではなく、いったん腹に収めて消化してから口にする術を身につける・・・という風に大人になるんでしょうね。

なんかね~。
3は微妙に児童書向けじゃない展開になりつつありましたなw
歩の心理や、微妙な成長はゆっくりと丁寧すぎるほど丁寧に書かれてあって、その部分を深く読むとなかなか面白いのですが、いかせん話が進まないんです。
1も2も1巻完結で、起承転結がはっきりしていて、ほんと子供にはわかりやすい展開だったんですが、ⅢはⅣがなきゃ納得できない終わり方。
これって、「夏祭り漫才編」の前編だよ・・・ね?
って感じでした。
前述したとおり、これは文庫化されてますが、もともと子供向けに書かれた本です。
作者も当然、そのことは意識して書いてます。
文芸のにおいをこのシリーズに持ち込んじゃだめ。
作者もそんなことはわかってて、意識して書いてるはずなんですが・・・。
もし、4があるとして、その展開いかんによっては、The MANZAIシリーズ自体の評価にかかわってくるかもしれません。
1.2が面白かったのは、純粋な児童書として書かれていた。
3以降は文芸書の仕事が増えたから。
・・・・こんな見方大きらいなんですけどね orz
悲しいかな、それくらい漂白されちゃった感じなんですよ。

とにかく、私の大好きだった少年少女たちは元気に動き回ってくれてました。
3年生ともなると、大人の階段を少しずつ上がるのかw
告白する様子なんかも書かれています。
歩と秋山については、狙いすぎの感がいなめませんけど。

蛇足:あさのあつこ氏ほど、ご本人の現状が作品にでる作家も珍しくw The MANZAIが出版されていると知って、こりゃNO.6シリーズも間もなくか!と興奮したのですが、このままいったら間違いなくNO.6はBL路線に走りますな。(それでもいいけどw)

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『バッテリーⅡ』 -あさのあつこ [小説]

バッテリー〈2〉

バッテリー〈2〉

  • 作者: あさの あつこ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫


試合ってのは出してもらうんじゃなくて、出るもんだろうが。


新田中学に進学した巧と豪。
入学式の翌日、早速野球部に入部届けを出そうとする豪を巧は制する。
野球部の練習を見学した巧は、どことなくダレたような練習風景に違和感と漠然とした不安を感じる。
提出は期限ぎりぎりの1週間先まで延ばそう。
そして、その間豪と二人で自主トレをすると言う巧。

たとえ入部して練習に参加しても、自主トレはできるはず。
現に、巧は毎朝のランニングを欠かしたことはない。
野球は9人でするはずなのに、敢えてバッテリー二人だけでの自主トレを巧は選んだ。
無意識に感じ取っていたのだろうか?
学校に、クラブに所属することで付きまとってくる「しがらみ」を。
ただ、自分の中から湧き上がってくる衝動。
ただ、手の中にある熱く脈打うボールを投げたい。
豪さえいれば、ボールを受けてさえくれれば、巧にとっての「野球」はできるのだ。

入部届け期限の月曜日。
校門前で風紀委員による服装検査が行われていた。
風紀委員の上級生がつかんだ右手。身震いが来るほどの嫌悪感が走った。
巧にとって右腕は何より大切な場所だ。
この矜持、この価値観。
右手に触れられることを厭う、全身で拒絶する。
これが原田巧だ。
それだけで構成されている。
そんな12歳がどこにいる?
「はなせ。」
短く言うが早いか振り払った勢いに押され転んだ女子生徒が泣き出したおかげで、すっかり騒ぎの中心となった巧は、職員室に連行され野球部顧問のオトムライと対面することになる。
入部届けを提出する前に・・・。

朝の服装検査で諍いを起こした上級生は野球部の副キャプテンだった。
そして、職員室でやりあった教師は野球部の顧問。
初日の練習前から目をつけられているにもかかわらず、巧行動は「自分のピッチングで相手をだまらす」だった。
なんて傲慢で不遜な考えなんだろう。
巧のやり方は力づくで相手を屈服させるそれと同じだ。
彼のなかに和なんてものは存在しないのか?
だからこそ、あの球が投げられるのだろう。
それでいいのか?ほんとうにそれで。
正しいとか間違ってるとかではなく、痛々しいほどきつい目で顔を上げ続ける巧。
髪を切って来いという監督に、
「髪の長さなんて、野球に関係ないこと言い出さないでください。おれ、髪の毛で球を投げてるわけじゃありません。」

それを回りで見ている友人はどうすればいいというのだ。
巧キツさはもう重々承知している。
監督に逆らうな。
イヤだ。
と言われれば、もう致し方ない。勝手にしろ。オレは知らない。
とは、なれない人物が一人だけいた。
豪だ。
巧の球を受けるために野球を続けると決めた豪。
豪もまた、巧の球を受けることがだけが豪の野球なのだ。
監督が巧の素行が悪いと試合にださなければ、豪もまた野球を取り上げられてしまうことになるのだ。
諭してもきくタマじゃない。
言い出したら利かない。
「監督がお前を使わんって言うたらどうするんじゃ?」
「じゃ、出ない。試合に出なくていい。」

この時、いやこれから後も、巧は豪の存在や、立場や、想いや、そんなものに気が付くはずがない。
あいつは、自分の力に絶対に自信をもってマウンドに立っている。
そして、ぞくりとさせる球を投げてくる。
だが、豪は・・・豪はどうすればいいのだ。
ただ、巧の球を受けとる。巧は豪にそれ以上を望んでくるはずがない。
一緒に野球をするんじゃなかったのか?
お前が投げて、オレが捕る。
そうじゃなかったのか?

おれとやる野球は、自分の意地を守るためなら簡単に捨ててしまえるほどのもんだったんか。
巧の言葉はそう言って、巧につかみかかった豪に、根深く不安の種を蒔いてしまったのだった。

翌日、豪の様子が普段と違った。
誰に対しても笑わない。
幼稚園からの付き合いなのに、豪が怒ったのを見たことがないという沢口と東谷が、巧と豪の仲を取り持とうとイチゴ狩りに誘う。

豪は巧に何度も、繰り返し、自分の思いを伝えようとする。
監督を怒らせたら試合に使ってもらえないかもしれないこと。
決定権は「自分たち」にではなく「大人たち」がにぎっていること。
「おれにとっていちばん大事なんは、おまえと試合に出ること。それよりほかのことはどうでもいい」
巧との試合のそのためなら、頭を下げること、逆らわないこと、髪を切るくらいなんぼのもんじゃという豪。
頭を下げて、取り入って試合に出してももらうんじゃなく自分の力を認めさせて、出るもんなんだ。
決めるのは大人なんかじゃない。自分たちの力。
それを信じてなければ壊れてしまうと言う巧。

やれるのか?本当に?
別れた後、夜中に豪はたまらなくなって巧に電話をする。
「巧」
「うん」
「おまえな、マウンドから逃げんなよ」
電話を切る間際。
巧は豪に告げる。
「ああ、ありがとう」
と。

生意気 としか言いようのない巧だったが、やはり上級生からは鼻持ちならないヤツだった。
巧が宣言したとおり、オトムライは巧のピッチャーとして素質に魅せられる。
だが、次の試合は原田と永倉バッテリーの先発でいく。
そう監督が告げたとたん、陰湿な牙をむいてくるのだった。

用具室に誘い込まれ、数人から襲われた巧は、真っ暗な中でベルトでムチ打たれる。
巧にすれば、いわれのない暴力。
姿を隠して陰湿に押さえ込み、屈辱を味あわされたのだ。
だが、コトが発覚した展西は苦渋を浮かべたまま言った。
「おまえさえ、入部せんかったらよかったんだよ。おまえみたいに言いたいこと言うて、やりたいことやって・・・好き勝手やりやがって、それでいきなり先発だと。ふざけんなよ」

我を通した巧。
ついていけないかも知れないと思った豪。
育ててみたいと動かされたオトムライ。
巧を許せなかった展西や先輩たち。
全員平等下った判決は。
野球をとりあげられてしまうことだった。
連帯責任とい名の上からの圧力によって。


予告したにもかかわらず、バッテリーⅡです。
バッテリーでも苦労しましたが、どう表現するのが一番いいのか分からないまま手をだしてしましまいた。
自分はバッテリーシリーズ6冊の中でこのⅡが一番好きなんです。
絶対我を曲げない巧。
でも、その巧も100%自分に自信があるわけじゃない。
壊れそうなんだ。と、思わず漏れた言葉。
先生に囲まれた時、鞭打たれて倒れた時、無意識に豪に助けを求める巧。

そして、豪もまた巧と行くしかないと知りつつも、自分の思いを巧が気づくはずもないと苦悩します。
じゃ、どうすりゃええんじゃ。
ほんとにこれでええんか。と。

豪と並んで歩くようになった巧は、まだまだ回りも豪のことも見えてないのですが、少しずつ自分の思いを相手に伝える術はないものかと感じはじめています。

-豊かな言葉がほしい。自分のうちにあるものをきちんと伝える術がほしかった。-

多分巧にとって豪は、はじめて自分と同じ目線で自分と同じものを見ている。
野球に対する熱さを共有できる友達。
そして、なによりその想いを乗せたボールを受け取ってくれる唯一無二の存在なんでしょう。
どちらかというと、巧のほうがより多く豪に依存しているのですが、本人たちは気が付いていません。

野球部に入部して、それ見たことか。w と言わんばかりに嫌がらせにあいます。
まぁ・・・ね。
巧のあの才能と、あの鼻持ちならなさなら、当然と言えば当然。
出る杭打たれまくってます(ムチでw)

シリーズ通して、ずっと引っかかり続けたシーンがⅡで登場します。
井岡洋三を戸村が訪ねた場面。
「巧は、あそこまでかもしれん。」
「あの年で、完成されすぎとる。あれほど狂いのないフォームで投げられるというは・・・わしは、いやじゃな」
じーさんは巧のどこを見てこう言ったのか。
じーさんの目 なのか 監督の目 なのか・・・。

これほどないってくらい真っ直ぐに伸びる若木に、汚い傷を残したシーンなんですよ。
何故??何のためにこの傷は必要なのか。
しかし最後まではっきりとした答えは見せてくれませんでした。

なんだか長いあとがきになってしまいました。
次回こそ、THE MANZAI3で!ww(←うそつきです)


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『弥勒の月』 -あさのあつこ [小説]

弥勒の月

弥勒の月

  • 作者: あさの あつこ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/02/22
  • メディア: 単行本

(あらすじ)
若い女が立っていた。
二つ目橋の上に。
月の明るい夜、もう木戸も閉まろうかという時間。
翌日、小間物問屋の若おかみが溺死体で発見される。
ただの飛び込みだ。
疑う余地もないはずの死に、何故か違和感を覚える同心の信二郎と手下の伊佐治の前に、死んだ女の亭主遠野屋が膝をつく。
「なにとぞ、お調べ直しのことお願い申し上げます」


もの凄く忙しかった7月も終わり、やっっとブログの更新ができます。
しばらく、本買うのやめて溜まった本と、溜まった感想に専念しようと決心したにーにでございます。
他人に厳しく、自分に甘いワタクシ。
いったい、いつまで続くのやらww

さて、『弥勒の月』
あさのあつこ 初の時代モノですか。
下町の同心と岡っ引が、溺死した女の謎をといていく・・・ミステリーです。
えぇ・・・っと。
これほど感想に困った本もありませんわなw
さらっと、さらっと読み飛ばしてください。

ミステリーとしては力不足。
時代ものとしてはそれなりですが、及第点以上ではなく。
なにより、いつもの あさの節が影を潜めている。
あの、爆走するような あさのあつこ らしさ がないんですよ。
例えば、初めて手にした著書がコレだったら・・・。
へぇ~
で、著者の名前3日で忘れられますね。
あさのあつこの魅力の一つでもある、キャラクタ。
色気のある男の子も登場しないし(そこかいっ!)
なんで、時代物でミステリー書きたかったのかな?って内容よりそっちに捕らわれて考えちゃいましたw

表題の『弥勒の月』って語感はすごく怪しくて、いろんな風に想像が広がって、イイ感じなのに、内容で抑えきれないない。
一人の女性の死をめぐって、頭は切れるが性悪の同心と、親子ほど離れた誠実が売りの岡っ引コンビが、どこかいわくありげな死んだ女の旦那の闇に迫るって感じなんですが、連鎖して起きる殺しもどこか間が抜けているし、旦那の闇も薄っぺらいまま終わってしまいます。
時代物、ミステリー、人の闇。
いろんなものに頑張りすぎちゃって、とっ散らかってまとまらなかったなぁ~
という感じがいなめません。
一時のこの作者の著書に比べると「前向きさ」や「ひたむきさ」が書く姿勢に現れてきてる。
もぉ、『NO.6 #4』と『福音の少年』読んだ時はどうなることかと思いましたけどw

もがいて、もがいて、出口が見えつつあるんだろうな・・・
そんな感じでした。
NO.6#5も近々、私たちに届けてくれる気がします。

えっ?で、内容はって?
同じ江戸の時代もの読むなら『しゃばけ』をお勧めしますw
絶対こっちのほうが面白い。

いずれにせよ、あさのあつこ にはどんな「はずれ」があっても、絶対の信頼を寄せていますし、もうある意味愛しちゃってますので、過渡期の作品としてはなかなか面白い(内容が・・ではありません)見方ができるのかな?っと思いました。
いい方向に生まれ変わったあさのあつこを拝める日を願いつつ。

もっかい書いておこう。
こんなに、感想に苦労するの分かっててブログの記事にしとこうと思った作品もありませんでした。
さらっと、読み飛ばしてくださいw

予告しときます。
次回は、やっと手に入る『THE MANZAI 3』です。
(きっと、入手の愚痴からだぜw)

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『地に埋もれて』 -あさのあつこ [小説]

地に埋もれて

地に埋もれて

  • 作者: あさの あつこ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 単行本

[あらすじ]
女は男に埋められる。一緒に死んでくれるかと言ったのは男のほうだったはずなのに。
「二人藤の下なんて、ずいぶん、綺麗な場所に埋もれていましたね。」
優枝(ゆえ)が身を起こすと一つの大樹に二色の藤が巻きつき花を咲かせている。その横には鉱石のような瞳を持つ少年が立っていた。
自分には生きている意味があるのか?
そう訊ねる埋められた女を白兎は導く。

・・・・・・・。
エッ・・・・

エローぃ!!!

『透明な旅路と』に続くお話です。
続くちゅーより、シリーズものって感じです。
『透明な旅路と』に登場する謎の少年白兎(はくと)。
自分は前作ですっかりヤラレちゃいました。
生きている感じがしない&透明感がある謎の少年。
白兎会いたさに(それだけかよっ!・・・それだけさっ。)購入しました。

しかし・・・
今回の白兎。
フェロモンたっぷりです。今回の主人公が女だからでしょうか?

「おれのこと、覚えてないんだ。」
唇が触れるほどの距離から覗き込む白兎。
「覚えてないんだ。」
優枝の前髪にそっと触れる白兎。

「おれが欲しいですか」
妖艶な眼差しで、淫らに誘うように。
「欲しかったら、欲しいって言えばいいのに」

エロ小説ですか?w

透明で硬質。
日の光に透けるように輝くくせに、鉱石のようになんの感情も表さない目をもった少年。
黒なのか、白なのか。
前回はそこが、白兎の魅力だったのですが、今回は軟体動物のようにうねうねと淫靡に蠢きます。
少年のエロティシズムではなく、まるで幼女のそれのように。
言っていることはぞんざいなのに敬語を崩さない丁寧な口調。

なのに一面、ちらちらと少年っぽさも見せてきます。
腹がへったと、即席ラーメンを作り食べる白兎。
あなたは悪魔だから、魂をとりにきたんだと優枝に言われ、涙を浮かべて笑う白兎。

一行ごとに右へ左へと針が振り切られる。
振り回される。この少年に・・・。
脳が腐りそうになりました。                                        

何者なのか分からない少年。
でも、「生きているもの」ではない。
悪魔なのか、死神なのか、奪うものなのか、救うものなのか。
やはり分からないままでした。
ただ、少しだけ垣間見せてくれたのは
-結びつけるもの 手をひいてくれる人と魂を・・・

ということだけでした。

そう、彼は救われたいぎりぎりの魂を持った「人」と、救われなかった「魂」を結びつける「もの」なんですね。
おれは何ものでもない。何もできない。と白兎は言いますが、
(エロいねん。・・・キスするかな、強引に。実体があるかないかもわからないのに・・・orz)

ほどよく腐れたところで、少しまじめに本編の内容にも触れてみたいと思います。
今回のテーマは死んでしまった魂はどうなるのか?です。
主人公優枝は、過去にトラウマを持っています。(またか)
まだ少女だった頃に起きた事件とその結末が招いた中傷。
そして、幼い頃に見た父を捨てて家を出る母の姿。

ゆっくりと長い年月が侵食するように彼女の魂は崩れそうになっています。
後一粒。
天秤が傾けば、容易に彼女は崩壊してしまいそうです。

母を亡くした中年男性と彼女が勤める葬祭センターで出会います。
シチュエーションは葬式。
最も恋愛とはかけ離れた場所です。
例えば、患者と看護士ではないんですよね。
喪主と葬式の係員。
そこには、生はなく死しかない。
この出会いはまるで優枝の未来を暗示するかのように、何もできない、
一緒に死のうと言っておきながら一人逃げる男と出会うことで「生」への執着をあっさりと捨ててしまいます。

「一緒に死んであげる」
先に薬を含んだ彼女は、紫と白の藤の花が巻きついた大樹の下へ埋められます。
天秤は傾いてしまった後、助けられて一体どうすればいいんでしょうか?
きっともう一度死ぬことも、死ぬつもりで片づけた生を取り戻すこともできない。
ある意味、優枝は白兎以上にあいまいな存在です。

あいまいなまま。ただ、流されるまま。
白兎が導くまま。
彼女が導かれた先は、やはり前回と同じく「家族」でした。
死とは魂と肉体が分かつこと。
肉体は滅び、朽ち、形を成さなくなる。
では、魂はどうなるのか?
浄化できない魂はさすらうのか?腐れ落ちることもできず、再生することもできず。
「だんだん腐敗してくるんですよ。最初は甘くどろりとし溶けるみたいで、そのう徐々にその甘さがきつくなるんです。」
そして・・・
「消えちゃいますよ。存在しなくなる。誰の心の中にも残らない、その人は、元々この世界にいなかったのと同じになる」

またしてもこの問題です。
奇しくも2冊続けて、「死んだらどうなるの?」本にあたってしまいましたw(詳しくは、一つ前の記事『エンジェル』を参照ください)
死という境界線を挟んだこちら側とあちら側。
溶けて、甘いにおいを放つ魂にめまいを覚えました。
嗅いでみたいのか?放ってみたいのか?
自分でもわかりません。(このシーンのときは既に脳が腐ってましたんでw)

生への執着は無様にも見えます。
再生は容易ではなく、死は甘い芳香を放っています。
しかし、生きることをバカにしても一歩も進めないことくらい誰だって知っています。
傾いてしまった天秤は、実はその粒を反対側に置きさえすれば逆に傾く。
死から生へ。
難しい理論ではない。

っと、たぶん作者は描きたかったのでしょうけど、あまりにも白兎が強烈すぎて、どーでもいいやんw そんなことくらい。
と、思ってしまいました。(まちがってるぞぉ~~!!)

このシリーズ、あさのあつこ の著書としては少し毛色が違います。
あまり人気がないのか、凄く好きだという意見を聞きません。
自分は・・・・
もの凄く好きです。
白兎の設定が妙齢の美人だったらこんなに惹かれたか?とも思いますが、

キャラは物語の大切な要素やっ!!

ということで、次も白兎に会えることを心待ちにしていますw


蛇足:掘り起こしてくれるのが白兎で、気がついた場所がこの世とは思えないほど綺麗な藤の花が咲き乱れているんだったら、自分から埋もれてもいいな・・なんて思っちゃいました。腐ってます。はいw
惜しむべきは・・・・
イラストがないんですよ。どなたか描いてくださいませんか?(撲殺)

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『エンジェル』 - 石田衣良 [小説]

エンジェル

エンジェル

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 文庫


[あらすじ]
気がつくと、純一の足元で男が二人死体らしきものを埋めていた。
あれは・・・ぼく?
自分の身になにが起きたのか。
誕生の瞬間に飛ばされた純一の意識はもう一度人生を振り返ることになる。
だが肝心の殺されるまでの2年間の記憶はすっぱりと抜け落ち・・・。
誰が、何故、自分を殺したのか。
幽霊になった純一は真実を追い求める中で、もう一度決断を迫られることになる。


一時オトナ買いした石田良衣作品の読んでいなかった最後の一冊です。
やっと本棚からお目見えしましたw。

この作品、NHKFMのラジオドラマで放送されたことがあったのですね。
読んでみて、なるほど映像より音声向きだなぁと感じました。
・・・聞きたかったな。再放送を待ちます。

っと、いきなり脱線しましたが、まずお話は気が付くと自分が殺されて埋められているのを目の当たりにするところから始まります。
なんだ、なんだww
これは、ホラーなのか?ミステリーなのか??
自分が何故死んだのか。
死体を隠そうとしているのだからきっと殺されたんだろう・・・。
一体誰が、何のために自分の命を絶ったのか分からないまま、純一は誕生の瞬間からの人生を再び辿ることになります。
母親の命と引き換えに生まれた純一は左足に障害を負っていた。
大きくなるにつれ直るだろうと言われていたはずなのに、矯正具をつけ皮が裂け骨がみえるほどまで足を酷使して練習し、手術も受けましたが彼の足は完治することはなかった。
父の掛井純二郎は企業の売買と再建を専門とする悪名高い企業家だった。
「鬼純」
そう呼ばれた掛井の屋敷の前で、屋敷の中で、のっとられた会社の社長が当てつけに自殺する。
純一はそんな家で育ったからか、純一は人とのかかわりあいが苦手な子供だった。

最初殺された時点での純一の年齢どころか名前すらわかりません。
思考の内容から、子供ではないな・・・と感じますが少年なのか、青年なのか。
「殺された」こと以外のなんの情報もないまま、いきなり誕生シーンですから読んでいる私たちも純一の人生を一緒に旅しないことには、情報が得られないのです。
これがモノローグかいっ!と言いたくなるほど長いページを割いて純一の過去の旅に付き合うことになるのですが、次第に明らかになる「純一」という青年(30歳くらいか?)を知るほどに、気がつけば
「で、なんで殺されたン?」
純一と同じ疑問で一杯にされているのでした。
しっかりハメられてるしw 作者の思うツボやん。
実は自分。このブログを書くために確認するまで一人称形式で書かれているとばかり思っていたのです。確認してびっくり。三人称でした。
いかに読んでいる間、主人公と同化していたかってことですよね。

ブロック崩しから始まり、ゲームと対話してすごしたような青春期。
父の再婚と同時に生まれてきた弟。そして、突きつけられた父からの絶縁状。
10億と引き換えに掛井家とのかかわりを一切絶たれ、純一は小さなゲーム製作会社でアルバイトを始める。
純一に転機が訪れる。
製作に関わっていたゲームの資金繰りが上手くいかずプロジェクトが頓挫しそうになるのだが、どうしても製品化させたかった純一は、融資の話をもちかけるのだった。
やがて大ヒットを記録したそのゲームの配当金を元にベンチャーキャピタル、企業融資を始める。
金は出すが口はあまり出さない投資家を天使のようにありがたくまた出会うことが難しいことから-エンジェル- と呼ばれていた。

すぐに気がつくことですが、純一は父から絶縁されることで、父の仕事とは全く正反対のことを始めるわけです。
敢えて意図した訳ではなかったのですがその道を進んだ純一は、父や父を取り巻く世界を憎んでいたのでしょうか?
20歳になってすぐに金でかたをつけようと絶縁を申し渡す父。
単純に後妻が産んだ弟との確執を取り除いておこうというだけではないような気がするのです。
父は、悪なのでしょうか?
難しいンですよ~。純一の視点から書かれているので、目にみえるのは非情な父親でしかないですし、この時点ではそれ以上の情報は与えられないですから。
とは言っても、最後に大々的に「やっぱな~お父さんいい人っ!」っていうのも出てきません。
でも、影からなんかしらの力を貸していたような気がしてならないのは私の欲目ってもんでしょうか。
「融資」という危うい言葉が飛び出してきたからには、金がらみで殺されちゃったんだろうな・・・という予想をさせておいて、ここで純一の過去の旅は終わります。

一度死んで、死んだ後を生き始めた純一。
体はないですが、純一の力「電気使い」で電気を操ることができます。
なんとメールも打っちゃいます。
きっとブログの更新もできるでしょうw
もともと極度に人と関わらないし、数字を動かす仕事だったのだから、PCが使えればなんだか死んじゃってもなんら問題がないような気もしてきます。(あるか?あるなw)
自分のPCに残された情報から、出資相手の誰かが鍵を握っているのではとにらんだ純一は、失われた2年間の記憶、とりわけ自分の最期につながった「理由」を追いはじめます。
愛した女性と、彼女が身ごもっている自分の子供を守るべく純一の奮闘が続きます。
彼が真実を手にいれるまで、ずっと考えさせられるのは、「死」についてでした。
彼の肉体は失われました。山中できっと白骨化してるでしょう。
でも、彼の精神は意思は失われないのです。
前述したように、死んでもなんら困らない気がして仕方ないのです。
人と意思を疎通させる術もあります。
大切な人を守ることもできます。
ここに描かれるのは「死」ではなく、「死んだ後の生」です。
死という一線を越えた後、死後の生が待っているなら。
一体「死」とはなんなのか。精神が消滅する瞬間なのか。
なんだか、今まで自分の持っていた認識を覆されるような思いでした。
もちろん・・・死んだことがないのでイッペン死んでみないと分からないですけどw

なんだ、なんだww
これは、ホラーなのか?ミステリーなのか??
ミステリーでもホラーでもありませんでしたw
私の分類の中では、純愛に近いですw
みなさんはどのカテゴリーに分類されましたか?

蛇足:純一とはほぼ同年代の自分。「フラッシュバック」で過去に飛ばされた時、一緒にトンじゃえたのは、ブロック崩しやインベーダーゲーム。ピンクレディにキャンディーズなんて懐かしいフレームの数々(涙)
年取ると、涙もろくなるんよ。(しみじみ)


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『蒲公英草子 常野物語』 - 恩田陸 [小説]

蒲公英草紙―常野物語

蒲公英草紙―常野物語

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本


[あらすじ]
思い出すだけでも暖かく、悲しくなる記憶。
少女だった頃、槇村のお屋敷にいた病弱な少女と過ごした日々・・・。

槇村は 村の中心だった。
槇村の屋敷はいつも人が出入りし華やかで賑やかな場所だった。
槇村の主治医である峰子の父は、病気がちで学校にも行けない聡子お嬢様の話し相手を峰子に命ずる。
お屋敷に通うようになった峰子は、槇村に集まる一風変わった人々と出会う。
ガラクタばかり作っている科学者の池端先生、寂しい瞳を持つ仏師の永慶、気まぐれな画家椎名。
ある初夏に、不思議な一家が槇村の屋敷の離れ天聴館に住み着いた。
彼らは、人々の記憶を「しまえる」-常野の一族だった。

常野物語2冊目の本です。
1冊目の 『光の帝国-常野物語』 も記事にしていますので、興味のある方は参考に(ならないですけど)していただけると幸いです。

恩田陸の本もすっかり読みなれてしまった今日この頃。
ご存知、直木賞候補になった作品です。
んんん・・・・・。
・・・・・・。
『光の帝国』のほうがよかったなw
これ一冊でも・・・まっ、十分読めるお話ではありますが、やはり『光の帝国』→『蒲公英草子』と進まれることをお勧めします。
常野に愛情を持って接する事が出来ると思いますよ。
さて、『蒲公英草子』は自分が一番気に入った「しまう」人たちのお話です。
槇村一族と常野のかかわりを描く一つのお話でまとまっていますので、前作の連続短編集とは赴きの違う内容となっています。
登場する能力(うわっ、俗っぽい言い方だな)も、歴史をしまう春田一家と回想で出ていた未来を見渡せる遠目の嫁だけ。
遠目の血は流れていないはずなのに、聡子は遠目ですね。
とは言っても、常野物語では超能力が主題でもましてや、その能力を使ってスーパーマン的活躍をすることが目的でもありません。
常野の魅力は、在野にあって緩やかに静かに暖かく流れるところにありますので、まっ、沢山でてきたからイイってもんでもありませんね。

今回のお話の根底に流れているものは、人は何かしらの役目を担って生きているのではないのか?
運命という本流に流されることなく、抗うでもなく、しっかりと自分だからこそ担わされた「役目」を見据え、見落とさないように生きていきたいものだ。
・・・という感じです。(いきなり結論かよっ!)
『蒲公英草子』はうす塩味ですからw

なぜ 蒲公英(たんぽぽ) なのか?
レンゲやスミレじゃだめだったのかな?
ってなことをちょっと真剣に考えてました。(考えるトコロがまたずれてる・・・orz)
どこにでも根を下ろし、踏まれても首をもたげて咲くタンポポはやはり常野のイメージではあります。
綿毛を飛ばして、種を遠くに運ぶのもしかり。
常野は定住しないで、村々を回ったりしますので、やはりタンポポなんでしょうね。
でも、鮮やかな黄色よりもう少し優しい色のイメージがありますし、もう少し自己主張しない感じがします。
・・・・とは言っても、サボテンを枯らせるほど園芸に全くむかない私がそれ以上の花をイメージすることが出来るわけでもなく、「黄色」に激しく違和感を残しつつ、受け入れることにしましたw。

常野ばかりをクローズアップさせましたが、春田一家が登場しかかわってくるのは中盤からで、峰子の視点から在野である槇村の人々を中心に描かれてていきます。日清戦争から日露戦争へと社会には重苦しい空気が夜の帳のように下りてきています。
大人たちは、それに押しつぶされないように、自分の中の滓と戦いながら生きています。
まっすぐに道を違えず進もうとする書生や、憤りながらも捨てきれないでいる画家、そして絶望の淵を彷徨い自分のあるべき姿をなくした仏師。
天聴会の日にそれぞれが自分の進むべき道を確認し、再び取り戻すのでした。
天聴会当日、古い書見台に触れた光比古は自我を飛ばされる事故にあいます。書見台を使っていた常野の人はよほど「ひきだし」の「広い」人物であったらしく光比古の意識は両親が必死に探してもつかみとることができません。
でも、聡子光比古を呼ぶと光比古は戻もどってきました。
光比古を呼び戻した聡子を、光比古は「しまって」しまったのでした。

なんとなくイメージでしか捉えられなかった「しまう」ことが、このお話はっきりしました。
心や記憶を預けるといったイメージでしょうか。
「自分の中を全てさらけ出すなんて私にはできない。」と椎名は言います。
そりゃ、そうだろ・・。と自分も思いました。
自分の心を読まれる、仮にエスパーが近くにいたら気味が悪くてしかたありませんし、ある意味恐怖ですよね。
でも光比古が最後にしまった聡子を再生した時。
誰かにしまってもらえる安心感というのに納得しました。

自分の想いや記憶丸ごと。
それを知って批判されるのではなく、純度の高い肯定のみでうけいれられるのであればゆがめられることなく自分の想いや記憶を「記録」してもらえる「安心感」を得たいと思うかもしれません。
人は「想い」を残そうとすればそれを表現する術を使わざるを得ません。
文章であったり、絵画であったり、音楽であったり。
しかし、受け取り側の解釈によっては刻々と変わってしまう儚げなものしか人は残すことができないのです。
一度自分の中から放出してしまったそれらは、多くの人の目に触れ搾取されることで違う形に変化させられてしまうでしょう。
自分の意思とは別に、搾取され変化する作品(想い)を受け入れざるをえません。
作家が自分の作品に対してあとがきでうだうだと言い訳を書いたら見苦しいでしょww

なんか、作家ならではの願望なんでしょうね。
少なくとも恩田さんは自分の中を余すことなく表現できる術に憧れてるんだろうな・・・と、またナナメ40度の傾いた視点からみてしまうのでしたw

話がそれてしまいました。
本編は、私が「しまうということ」に大いに納得した頃静かに幕を下ろします。
『蒲公英草子』はうす塩味のままお話が終わりました。
もう少しコンソメパンチでもよかった気がします。
ま、自分はチーズ味よりうす塩味のほうが食べ飽きないので(ナンの話やねん)定番「恩田陸」として「しまう」ことにします。

次は休憩(コーヒータイム番外編?)を挟んで石田衣良に行ってみたいと思います。

蛇足:仏師の永慶サン。イメージがネオロマンスゲーム「遙かなる時空の中で」の永泉サンと重なってしかたなかったのは私だけでしょうか?
勝手に脳内変換して「永泉さん」と読み替えてました。
つーか、そんなマニアは他にはいませんよね・・・ハハハハ。
・・・・・。
もしいらっしゃったら、励ましのコメントお待ちしています orz


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『光の帝国 -常野物語』 -恩田陸 [小説]


光の帝国―常野物語

光の帝国―常野物語

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 文庫

[あらすじ]
全ての記録を自分のなかに「しまう」ことができる家族、遠く離れた音を聞き取ることができる人々、つむじ風のように走る老人。
常野の人々は不思議な力を持っていた。
常野の民は在野に下り、人々と交わり、穏やかで優しい人々として生きていた。
常野の民と常野の民にかかわった人々が織り成す不思議で暖かく、少し寂しい連続短編集


ずっと本棚に眠ったままになっていました。
久々の「恩田本」です。
少し前ですが、『蒲公英草子』が直木賞にノミネートされた時にあわせて買ったものでした。

本編は短編集の組み合わせで成り立っています。
百人一首を暗唱できると自慢している同級生。
それがすごいことなのか?と怪訝な様子の小学生の姿からお話は始まります。
彼の家族は、読んだ本を全て記憶することができるのです。
家族のあいだでは、それを「しまう」と呼んでいます。

最初のこのくだりで、すっかりはめられてしまいました。
なにより、「しまう」という表現に魅了されてしまったのです。
何なんでしょうか、この人たちは。
彼らの中に大きな引き出しか箪笥のようなものを思い浮かべますが、なんだかそんなありきたりじゃ「しまう」がしっくりこなかったんですよね。
もっと体の内部に染み込んでいくような。綿が水を吸うような、血に記憶されるような・・・。
そんな感じがこの「しまう」という言葉に感じられたんです。(自分がヘンなんだと思いますが)
好きですね。この表現。
この物語のなかで、最初の章が一番好きです。

短編の一章一章に違う不思議な能力を秘めた人々が登場します。
水にその人の未来が見える少女。
戦前から、いやそれより以前から、ずっと老人の姿のままツル先生など。
不思議な人々は常野という名前で結ばれています。
それが、土地の名を現すのか、それとも一族を現すのか。
常野の人々は、不思議な確かに不思議な力を持っていますが、隠れ住まうのではなく在野に下りて人々に溶け込んで静かに暮らしてきました。
心穏やかに。そして優しく。
そうやって積み上げられた物語が、一つの章を経ることで集約され始めます。
「光の帝国」です。
大戦中にその存在がばれ、家族を失った常野の子ども達をツル先生が匿っていました。
まずやってきた二人の子供、言葉を蓄積(しまえる)できるが、両親の不仲で怯えた目をした建と、母親が都会で見るビジョンに耐えられなくなり失踪した遠目の子あや。
そこに、死にかけて転がり込んできた上野の音楽学校に行っていたコマチ先生。
穏やかに暮らしていたはずの分教場にも一族の者たちが次々と軍部に連れ去られているという報が届けられる。
森でくらしていた力持ちの大男ジロ先生と、メロディで会話する岬、そして母親を殺したという信太郎を加え、分教場の大人と子供たちは建が考えた祈りの言葉を捧げながら静かに暮らしていくはずだった。
だが、時代がそれを許さなかった。
ツル先生が不在を狙って軍部が分教場を襲う。
不思議な力を目当てに。
そして、息絶えた子供たちはツル先生のもとに来て約束をする。
「時間がかかっても戻ってくるから、ツル先生。待っていて」と。

現代の常野の人々は一人の少女を中心に徐々に集結していきます。
大戦中に助けることができなかった子供たち。
そして、まだ赤ちゃんの頃に常野を救ったひとりの少女。
誰の生まれ代わりなのか。
それとも、「あの事件」の償いなのか。
常野で、在野で、少女を中心とした結束が必要とされる時代がくる予感を孕みつつ短編集はプツンと終わります。
最後の章「国道を降りて・・・」で、常野へ向かう少女美咲は常野の民ではないようですが、死んでしまった岬の生まれ変わりのを思わせます。
彼女にプロポーズした律は何かを感じ、知っているようですのでもしかしたら誰かの生まれ変わりなのかもしれません。

「綾なす」という言葉がありますが、この物語はひとつひとつの章が美しく物語を綾なしています。
織りあがった錦は、見事なモチーフになっていました。
全てを描くのではなく、見る人によって角度によって景色を変える。
寂しく、暖かく、悲しく、美しい。
そんな物語でした。
恩田陸の小説の中で、今のところ1位に輝きましたよ。自分の中でw(ドミノも捨てがたいですが)
いつも、読者に託すべき部分を描きすぎてその後の余地がない~と感じていましたが、イイ感じに残ってます。
続きが読みたくなる。
自分で描いてもいいんですが、彼ら彼女らのその後を追っかけたくなりますね。
これは誰の生まれ変わりか?って推理してみるもいいのですが折角「常野」の名前を戴いたお話があるのですから
そちらに譲るとしましょう。

ちなみに・・・
信太郎が、炎で人を焼き殺す能力を見て、「日向棗・・・」と思ったのは自分だけでしょうか?
はい。蛇足でした・・・orz


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『箱はマのつく水の底!』 -喬林 知 [小説]

箱はマのつく水の底!

箱はマのつく水の底!

  • 作者: 喬林 知
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/04/28
  • メディア: 文庫

(あらすじ?)
サラレギーと二人、地下に取り残されたユーリは視力を失ってしまう。
一方ボブ、勝利と分かれたムラケンはロドリゲスと合流、ヘイゼルが残した「箱のかけら」を手にいれたのだが・・・。

詰めたんだ・・・サラを袋に詰めたんだねコンラッド。

・・・・・・・。
あなたも、詰めてみましょうか?喬林 センセー

物騒な発言から始めてみました。(をいをい)
角川からのメルマガに、お話があまり進んでない~と作者のコメントがありましたので、いやぁ~な予感抱きつつ・・それでも、翌日には買いに走るか?!

さて、8月から埋めっぱなしのグリ江を掘り起こさなくっちゃ。
と張り切って読み出しましたのですが。
いつもなら、このシリーズ、完読までに2時間ちょい。
今回、3日かかりました。(と、書くとこんなマイナーブログを読みに来ている本好きさんなら分かると思います)
お話も、ユーリの動いた距離も数mってとこですか(ハハハ・・・ハァ)

唯一注目に値したのが、ムラケンですね。
今度の魔王がどうのこうのじゃない。
自分を偽らず、さらけ出せる人の側にいたい。
だから、彼が大切で彼の側に行かなければならない。
・・・・。
理解者を求めるのは人の根本ですからね。
それを痛感するほど、ムラケンの背負っている(背負わされた)「生まれ変わっても記憶が残る」というのは厳しいものなのでしょうね。
最初はエキストラに近かったムラケン。
ユーリが不良(い、言い方が懐かしい)に絡まれても捨てて逃げてましたw
「中2中3同じクラスの優等生(立ち位置はガヤ?)」
だったほうが彼は幸せだったのかな~なんて思ってしまいました。
頑張れ!ムラケン。
負けるな!ムラケン。
作者もきっと希望の光をキミの上に投げかけてくれると信じて戦うんだ!!(誰と?)

本編、いつもの軽快なノリのギャグ、外しまくってました。
唯一わかったのが、緑色のカエル?ペコポン星人??
他は、
(あぁ、なんかのネタなんだろうけどな・・・自分には分からないやぁ)
・・・・・。
どうしちゃったんでしょうね?喬林センセー

しつこいようですが、お話はぜんぜん進んでいません。
次巻で聖砂国のお話は完結・・・らしいです。
ホントに?
箱も?
ムラケンは?
サラ兄弟も?
・・・・グリゑは?

・・・・・・この遊びもできなくなりますねw


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そして再び『彩雲国物語』-藍より出でて青とアニメ [小説]

彩雲国物語 藍より出でて青

彩雲国物語 藍より出でて青

  • 作者: 雪乃 紗衣
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/03/31
  • メディア: 文庫


NHK-BSでアニメも始まってはや2週間。
いったん抜け出しかけていたのに、またもや引き戻され、2度目のシリーズ通し読みにはいっておりますww
今のところ・・・今年いちばんハマッた作品になってしまいました。

ここらで、ほかの本の感想もいきたいのですが、鬱屈したものを吐き出さないと次に進めない不器用モノなもんで、最新刊とアニメの感想を絡めていってみたいと思います。
(ほんと、いいかげん足あらわないと。彩雲国の記事しか書いてないちゅーねん)

最新刊 『藍より出でて青』 番外編でした。
国試の際の3人組の話。
サブタイトルどおり、藍家。藍龍蓮笛吹き童子のお話です。
ちょっとキレてるなぁ~と思いきや、思いっきりキレてま~すの龍蓮に爆笑でした。
そして、騒動が収まった茶州を去ることになった秀麗を送る茶州府でのひと時。
最後のお休みにピクニックにでかけたはずなのに、気が付くと全員で張り切って妖怪退治をするはめに陥っていました。
しかも、その妖怪が全て州府がらみw 理由もばかばかしいものばかり。
いままでのドタバタを思うと、どこまでもほのぼのムードでお話は進みます。

龍蓮のために書かれた番外編ですので、龍蓮=藍家を継ぐもの 
その名前の重さや、周りと隔絶された存在である龍蓮の孤独など。
今まで見えていなかった龍蓮にスポットがあたった一作でしたが、一番ココロに残ったのは、あとがきの後の短い章でした。

季節がぐるりと2度めぐる前。桜の木の下で出会った少女と、その想い。
(・・・・実は一目惚れ? だったのか・・・・?)
思い巡らすのは寂しかった幼い頃と、それを救い上げた優しく強い少女の面影。
今、彼女は側にいない。そして、彼女には過酷となる決断を自分はしなければならない。
戻ってくる。
でも、それは州牧の任を自分が解くから(処罰だな・・・)
戻ってくる。
でも、自分の側にあるためにではない。
戻ってくる。
だんだん増えてくる手のひらの大切なもの。たった一つあればいいと思っていたのに・・・。
紅家の思惑、彼女は直系の長姫。
「紅性を名乗りたい。」たったそれだけのことを養い親に告げられない、信頼している友人と、彼女との縁談話。(たぶん、自分の后になるより現実的なんだろうな。)
諦められない想いと、焦燥。
だが、彼女はここへ戻ってくる。
彼女は・・・・まだ。 名前を呼んでくれるだろうか。
劉輝は宋将軍に本気で打ち込み、ぼろぼろに疲れて涙を流す。
そして、諦めきれない想いをのせて、紫の布にあの日の桜を刺すのでした。

っつ。
かわいいな・・・劉輝。
やばい。入れ込みそうになってしまいました。

いよいよ秀麗は紫州に戻ってきます。
お休みしていたバカ殿や、紅家がらみの秀麗に対する立場に頭を悩ます絳攸も、とんでもない弟に振り回されるだろう鍬瑛も・・・
そして、姪命のバカ叔父様も元気に登場してくれると新章に期待しています。

さてぇ~
アニメの感想です。
まだ原作読んでねーからネタバレ地雷踏むかとバクバクしちゃったよぉ。ねーさん。
という方。
ここから読み初めてくださいましw

まだ始まって2話ですから、秀麗の元気なところくらいしかお目見えしていません。
絵も綺麗で、見ていて飽きのこないテンポといい。
こりゃ、期待大ですね。予想以上でした。
2話「井の中の蛙大海を知らず」で、邵可邸に劉輝を案内した秀麗。
何もない庭に目を移し、8年前の王位争いで城下の民がどんな目にあったのかを話して聞かせる秀麗(大事なシーンです)
「・・・・子供をつくりに来たのでも、私はあなたを叱り飛ばすために来たのでもないわ。」
「私はあなたを支えにきたのよ!あなたの側でっ、王としてあなたが立つのを支えるために」

その台詞が流れる時、劉輝の目が徐々に見開かれていく。
あぁ・・・こういう風に表現したんだぁ~。
と、私も目を見開いてしまいました。
わずか15秒ほどのシーンです。
これが、劉輝が秀麗への想いを決定的にした瞬間でした。
片目のアップで、劉輝の心情を表現した見事なワンカットです。
そして、それは原作を読んだ時に私が描いた劉輝のイメージと寸部違わぬものでした。

こーゆー見方って、原作を先に読んでないとできないんですよね。
確かに、ストーリー分かっちゃってアニメの面白さが半減されると言われるかもしれません。
私はそうは思いません。
このシーン見たとき、アニメの作り手側のメッセージをより正確に受け取れた気がしました。
作り手さんが原作読んだイメージをアニメの媒体に載せて送ってきてくれる。重なった!って感じがしたんですよね。ちゃんと受け取ることが出来たよって。
良い作品(アニメであれ映画であれ)は、原作を読んでる、読んでいないにかかわらず、いろいろな楽しみ方ができるもんです。
再確認させてくれた、アニメ彩雲国物語に敬意を表します。

ちょっと話題を変えて、アニメ彩雲国物語を見てから原作再読に至った経緯を。
(そのおかげで、せっかく再開しようとしてたブログの更新が更に遅くなったと言い訳してみたりw)
公式HP見ていると、静蘭の年齢が「自称21歳」ってなってたんですよ。

つーか、ヤツ。いくつやねん!!
(つーか、お前そんな理由かいっ!!)・・・orz

読み直して、調べましたさぁ~フフフ
では、静蘭のひ・み・つ♪を知りたくない方は退出してください。
いいですか? いいですね?

「・・・・静蘭は、なんでそんな顔をしているんだ。余は絶対、同じくらいの歳だと思っていた」
「年齢不詳なんです、私は。自分でもいつくだかわかりません。」
                   角川ビーンズ文庫『彩雲国物語 はじまりの風は紅く』より抜粋
絳攸、鍬瑛より年上だといってます。
絳攸は年齢が分かるんですよ。16歳状元及第が7年前 23歳。それより↑っと。
燕青はこの時点で26って言ってます。17で茶州牧、それから10年・・・。
みんなで仲良く(?)茶州に赴く際、清苑公子が追放されたのが14年前というくだりがありました。(劉輝は5歳っすか)
燕青と静蘭は、茶州で短い間でしたが同じ時をすごしています。
たぶん、近い年齢。あっても差は1つか2つ。
この時点で、静蘭は25歳(燕青より1歳年下)だと予測しました。

だがぁ~あった!決定的台詞!!
仕事に没頭して徹夜続きの秀麗と影月を燕青が叱り飛ばすシーン。
「じゃ、同じ年の野郎にも訊くか。なー静蘭。」
・・・・同い年だったのか。

つーことで、静蘭の履歴書です。
先の王の第二公子として生まれる。 紫清苑 文武に秀でた次期王期待の公子だったが、12歳(13かも)の時に、罪をきせられ流罪になる。
(殺人賊でおかしらにヤラれる?)
半年後、邵可夫妻+秀麗に拾われ、茈静蘭と名づけられる。
人生の半分を「お嬢様」一筋で生き、27歳 で州牧付武官として茶州へ赴任。
1年に満たない任期を終え、再び紫州へ・・・
現時点で、かなりの確立で・・・・

28かいっ!!

みかけ20歳。
静蘭・・・・サバよみすぎです。


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